出産時に会陰切開を施されたママに。麻酔が切れた後の痛み対処方法と歩きかたやトイレのコツなど。
2020/12/26
出産時に会陰切開(えいんせっかい)を施されたママにとって、麻酔が切れた後の痛み対処方法と歩きかたやトイレのコツ、会陰切開を経験しないとわからない痛みについてやさしく説明します。
会陰切開は赤ちゃんがスムーズに産まれるためと、無理に会陰を広げて傷口が広い裂け口をつくらないようにするための処置です。それでも痛み止めが終わってしまえば、痛みに悩まされるママがたくさんいます。
会陰切開(えいんせっかい)のあとは、医師が傷口を縫合(ほうごう)してくれます。この縫合跡に違和感を感じて、患部が腫れているような感覚になります。
実際はミミズ腫れのように、縫合部分がふくらんでみえるママが多いようです。腫れには個人差がありますが、そこから出血や膿(うみ)がある場合は、雑菌に感染している可能性があります。
会陰切開した部分の周辺が、ひっぱられるような感覚があります。
切開部分を縫合しているのが原因です。やがて皮膚がくっついて、充分に伸びるようになります。
会陰切開後1~2日は、歩くことすら痛くて大変なママもいます。切開した日は1m歩くのに何分もかかってしまうママもいます。出産のためとはいえ、会陰を切るのですから、痛みがあって当然です。
会陰の縫合跡の違和感と、切開の痛みで歩くときに足のつけ根が動いたり、ショーツにあたることに敏感になります。歩こうとすると、どうしても皮膚が動くので傷口に刺激が走ります。
歩幅が大きいほど皮膚が擦れたり、ひっぱられるので痛みを感じます。最初は早歩きや大股歩きはできません。
トイレに行くと、会陰切開の傷が痛くなります。でも本当は会陰切開の傷口部分は、尿便の出る部分とは別です。これは力を入れるからです。力を入れないようにしていると便秘になりがちです。
トイレットペーパーで拭くのも、「傷口を開かせてしまうのでは」と心配になります。実際に強く拭くと、痛みを感じるママもいます。乾いたペーパーが傷口に刺激を与えてしまうからです。
会陰切開後の傷には、乾いている状態で触れるほうが痛みを感じます。逆にシャワーなどで皮膚が濡れている状態のほうが痛みを感じにくいようです。
縫合した部分が痒くなっている場合は、痛みがひいて皮膚が再生している証拠です。でも痒くて、ついつい掻きたくなります。
痛みよりも痒みが目立ってきたら、完治は近いです。ただし患部の皮膚はとてもデリケートです。無理にひっかいて出血したり、表面がヒリヒリしてしまうと雑菌の侵入経路になってしまうので注意してください。
会陰の傷口が、直接なにかにあたると傷みを感じます。座るときは、中心が空洞になっているドーナツ座布団がおすすめです。ドーナツクッションや円座としても販売されています。
ドーナツ座布団の上に座ると、おしりの周りには座布団があたりますが、中心部分は空洞で何も当たらないので、会陰部分も宙に浮いているような状態です。
ドーナツ座布団は硬めと柔らかめがあります。会陰部分だけを考えると柔らかいクッションのほうがやさしいイメージですが、柔らかすぎて座ると厚みがなくてペタンコになってしまうと意味がありません。
ちょっと硬めで、手のひらで押すと弾力があるような硬めの低反発タイプは、クッション部分が沈まないのでおすすめです。
または、普通の座布団の上に、柔らかいビーズタイプのドーナツ座布団を重ねて座ると、全体的に優しい座り心地です。
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会陰切開の傷口に直接触れる可能性があるショーツは、肌にやさしいものを選んでください。
肌の清潔を保てるように、汗を吸収しやすく肌さわりのよい綿がおすすめです。凝ったレースなど飾りは無いほうが安心です。
産後しばらくは、あまり窮屈なショーツは避けます。蒸れて患部が痒くなったり、直接あたりやすいので少しゆったりサイズのほうがラクです。
悪露ナプキンは常に清潔に、こまめに交換してください。ナプキンを放置していると雑菌が繁殖するので、傷口から雑菌が侵入して完治を遅らせることが心配です。
常に蒸れていると会陰切開の縫合部分の痒みが増したり、肌がヒリヒリして荒れてしまうこともあります。
産後は、会陰切開の傷が治るまで、トイレではビデを活用してください。ウォシュレットでない場合は、使い捨てのビデが便利です。
ある程度ビデやシャワーで汚れを落とせば、トイレットペーパーで患部をこする必要もありません。
家庭でウォシュレットがない場合は、ぬるま湯をスプレーボトルに入れて吹きつけます。この方法は、赤ちゃんにも便利です。
会陰切開後は、皮膚をひっぱるほどの動きを最小限に抑えます。本当は動かさないほうが痛みを感じにくいのですが、そうもいきません。
歩くときは小股で、足をあまり上げないように歩いてください。運動量が抑えられて筋肉もあまり使わないので、普段はおすすめしにくい歩きかたですが、会陰切開のあとは皮膚も筋肉も最小限の動きにすると傷みを感じにくく移動できます。
皮膚がひっぱられるような感覚が気になるときは、清浄綿をそっと患部に当ててください。
皮膚表面に少し湿り気を与えると、乾燥しているときよりも柔らかくなります。でも、清浄面を当てたままにするのは肌荒れの原因になるので、患部を潤したら処分してください。
出産時の会陰切開で、産院を退院後にトラブルを抱えたり不安になったときは、お産をお願いした産院や助産師に相談します。
個人病院や助産院の場合は、状況によっては専門病院や医師を紹介してくれます。紹介状があるほうが、診察までがスムーズです。
里帰り出産後に自宅に帰宅しているときは、自宅から通える婦人科か産院に相談してください。その際は母子手帳も持参します。
診察は内診になるので、ショーツを脱いで足を広げることを考慮した服装にします。オーバーオールやパンツよりは、ワンピースやロングスカートのほうがラクです。タイツやレギンス、トレンカも脱ぐことになります。