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蜂蜜を1歳未満の赤ちゃんに与えない理由

蜂蜜は健康食品としても重宝されていますが、1歳未満の赤ちゃんには与えてはいけない根拠、理由があります。

すやすや眠る赤ちゃん

2020/12/24

蜂蜜(はちみつ)といえば、砂糖よりも健康的に天然の甘味を摂取できて、栄養もたっぷりだというイメージですが、1歳未満の赤ちゃんには与えてはいけないと言われています。

蜂蜜は健康食品としても重宝されています。なぜ蜂蜜を与えてはいけない年齢が1歳未満なのか、何が原因で与えてはいけないのかを紹介します。

ボツリヌス菌とは

ボツリヌス菌は、食中毒の原因菌として有名です。ボツリヌス菌は、土の中に芽胞(がほう)といって半結晶状態で存在しています。でも、この状態では芽胞は発芽しません。芽胞のままで発芽をしないので「休眠型」と呼ばれます。耐久力が強いのが特徴です。

耐久力の強さは、ボツリヌス菌の除去の難しさからもわかります。ボツリヌス菌は100度の熱湯で煮沸しても、消滅しないそうです。

ボツリヌス菌は芽胞から発芽すると、今度は増殖を始めます。発芽を始めると「休眠型」から「増殖型」に変わるので威力も強くなります。この時、人間の体内で増殖が始まると食中毒と診断されます。

ボツリヌス菌の作りだす毒素は、通常の病気の原因になるような最近とはレベルが違います。自然界の作りだす毒素の中ではトップクラスです。食中毒で死に至るのも、この毒素の強さが原因の1つなのです。

どうして赤ちゃんに与えてはいけないの?

ボツリヌス菌の芽胞が発芽するには、芽胞にとって都合のよい環境が必要です。赤ちゃんの体内は、ボツリヌス菌の芽胞にとって発芽しやすい環境です。

しかも、赤ちゃんの消化器官は未熟なのでボツリヌス菌の繁殖をくい止めることが不可能だと考えられています。

つまり、1歳未満の赤ちゃんは体内にボツリヌス菌が侵入したら、抵抗もむなしく菌が増殖する可能性が非常に高く危険です。厚生労働省は、このような理由から1987年から、1歳未満の乳児に蜂蜜を与えないよう指導しています。

1987年以前に子育てしている人は、蜂蜜に対する制限が無かったので、離乳食に使いたいと考えたかもしれませんが、今は上記の理由で蜂蜜を離乳食に使用するのも1歳以降を勧められています。

ちなみに、ボツリヌス菌の存在は井戸水でも発見されています。調乳には井戸水を使用しないでください。

加熱したら与えても大丈夫?

ボツリヌス菌は、簡単な調理の加熱では死滅しない耐久性があります。加熱して調理に使用したとしても、1歳未満の赤ちゃんには与えないでください。

ボツリヌス菌の毒素自体は100度の加熱を10分以上して、毒素を死滅させます。でも芽胞は非常に耐久性が強いので、毒素が無くなっても死滅はしません。

大人の場合は、この加熱殺菌で食事をすれば腸内の働きもあってボツリヌス菌の影響は受けません。でも、赤ちゃんは消化器官が短く、すぐに細菌が腸まで到達するので同じような効果が得られる確証がありません。

1歳未満の赤ちゃんが蜂蜜を食べたら

乳児ボツリヌス症(にゅうじぼつりぬすしょう)は、1歳未満の赤ちゃんの体内に蜂蜜の中に潜んでいたボツリヌス菌が侵入して増殖、毒素を排出して症状があらわれます。赤ちゃんにとっては重篤になりやすい、危険な病気の1つです。

乳児ボツリヌス症になると、最初は便秘になります。毒素によって消化器官が悪くなるので食べものの消化ができなくなり、全身に脱力症状が現れてグッタリします。

体がぐったりするのは、神経麻痺をおこすからです。乳児ボツリヌス症になると家庭で看護するだけでは完治できません。早急に医師の治療が必要です。

神経麻痺が筋肉に広がると、呼吸すら困難になります。そんなリスクを背負ってまで、1歳未満の赤ちゃんに蜂蜜を与える必要はありません。

ちょっと与えて、すぐに乳児ボツリヌス症になる確率は100%ではありませんが、「ちょっとなら大丈夫」が癖にならないよう気をつけて下さい。

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