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育児ママの鉄欠乏性貧血

育児中のママにもおこる貧血のなかでも、女性に最も多い鉄欠乏性貧血について、わかりやすく説明します。

外出で抱っこされる赤ちゃん

2020/12/16

育児中のママにもおこる貧血のなかでも、女性に最も多い鉄欠乏性貧血について、わかりやすく説明します。女性の鉄欠乏性貧血の原因、子育て中の治療方法や継続しやすい予防対策も紹介します。

鉄欠乏性貧血とは

貧血の中でも、もっとも診断されている症状が鉄欠乏性貧血(てつけつぼうせいひんけつ)です。貧血と診断される半数以上は、鉄欠乏性貧血です。一説には貧血の7~8割が鉄欠乏性貧血だとも言われています。

鉄欠乏性貧血は、その名の通り、鉄分が足りない状態でひきおこされる貧血です。体内で鉄分は血液に含まれます。そのまま鉄分として存在しているのではなくヘモグロビンという成分を作る役割を担っています。

鉄分が足りなくてヘモグロビン生産が減少することで、主原料を失った赤血球まで減少して貧血症状をひき起こします。ただし体内には、ある程度の鉄分が蓄積されています。だから鉄欠乏性貧血になったときは、その蓄積された鉄分も失っている状態です。

貧血とヘモグロビン

鉄欠乏性貧血

ヘモグロビンとは、人や一部の動物の血液中に存在している赤血球の中のタンパク質です。別名「血色素(けっしきそ)」とも言われます。

この赤血球の主原料はヘモグロビンだと考えてください。つまり、ヘモグロビンが足りないと赤血球は不完全な状態です。

どうして赤血球の不完全な状態が良くないかというと、ヘモグロビンは、赤血球の中で酸素分子と結合できる力をもっているからです。そして肺から全身に、血液にのって酸素を運び届けてくれます。

主原料のヘモグロビンが足りないと、赤血球は体内で減少気味になります。そうなると、血液中で酸素分子と結合できる成分が足りなくなってしまいます。その結果、全身に行き渡らせるはずの酸素が運ばれなくなってしまうのです。

だからヘモグロビンが足りない状態の体は、酸素不足になってしまいます。酸素が不足すると、体は倦怠感が目立ったり、疲労が回復しにくくなります。もちろん脳にも酸素が不足するのでボーッとしたり目まいが起こります。

このとき「視界がクラクラする」「急にふらついてしまった」「ボーッとしてしまう」など、貧血症状として感じるようになります。

このようにヘモグロビンが生成されないことで体内は酸素不足になって貧血原因を作ります。そのヘモグロビンが足りなくなる原因が、ヘモグロビンの主原料となる鉄分不足というわけです。

どうして鉄分が足りなくなるの?

では、どうして鉄分が足りなくなるのでしょうか?鉄分は女性の体にとっても身近で、重要な成分です。

女性だけに限定される原因の1つに月経があります。女性は月経によって毎回40mlほどの出血があると言われます。量には個人差があるものの、定期的な出血により、そのたびに血液が失われることになります。

出産時もおなじように出血で血液を失います。このことからも妊娠・主産時には鉄分が必要だと言われています。だから女性は、男性よりも血液を失う機会が多いとも言えます。ただし、これは仕方のないことです。

もう1つ、女性が気をつけなければいけない鉄分不足の原因は、不規則な食生活や偏食、ダイエットにより栄養不足です。産後はダイエットに励む女性も多く、体重や体型を気にするあまり、栄養素まで気にかけることができないケースがあります。

女性と生理:e-妊娠

体の鉄分貯蓄

鉄分が足りなくなるといっても、すぐに貧血症状があらわれるわけではありません。体の中に、鉄分を貯蓄できるからです。鉄分不足が始まったら、まずは体内の肝臓などに保管されている貯蓄分の鉄分で補充していくのです。

ということは鉄分不足の貧血症状があらわれたら、体内の貯蓄分がなくなったサインです。つまり、貧血症状があらわれたときは、すでに早急に鉄分を補充しなければいけない状態になっていると考えられます。

目まいや倦怠感などの症状を我慢していると、鉄貯蓄のない体は鉄分が欠乏した状態を続けるしかありません。こうした鉄不足状態が続くと、鉄欠乏性貧血になってしまいます。

鉄欠乏性貧血の治療

睡眠

子育て中の鉄欠乏性貧血の解消方法を、わかりやすく説明します。一時的に集中して頑張るよりも、毎日無理なく継続していくことが慢性的な貧血にならない体作りになります。

食事で鉄分を摂取する

鉄欠乏性貧血は、単純に鉄分の不足が問題ですから、体に鉄分を吸収させることが1番の治療法です。鉄分の多い食品を積極的に食べてください。

睡眠時間を確保する

貧血を予防するためにも疲労は溜めないようにします。育児中に最も必要な休息は、睡眠でとります。でも、赤ちゃんと一緒に過ごしている時に長時間の睡眠をとるのは難しいことです。パパや家族にお世話を代わってもらえる時間があれば、家事も大切ですが睡眠も優先させてください。

病院の鉄剤処方

有効に鉄分を摂取するために、病院では鉄剤を処方することがあります。妊娠後期も鉄分不足が見られるばあいは、鉄剤を処方される妊婦さんもいます。胃腸に負担がなく進めることができますが、便が黒っぽくなります。決められた服用し続けることが必要です。

病院での注射

鉄剤服用で治療がすすまない場合や、緊急を要する場合は注射で鉄分補給します。必要なヘモグロビン数値と、現在のヘモグロビン数値から注射量を判断するので医師の指示に従います。別に服用中の薬がある場合や、持病やアレルギーのある人は医師に伝えてください。

タンニンを控えめに

絶対にタンニンを含む飲料がダメというわけではありませんが、タンニンは鉄分と結合すると体に吸収されにくくなります。食事や鉄剤服用の前後1時間ほどは控えたほうが安心です。タンニンを含む飲料はコーヒー、紅茶、緑茶などです。

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