鉄欠乏症貧血を慢性化させないための鉄分補給について、1日の必要量や摂取し続ける理由、ヘム鉄と非ヘム鉄の特徴をわかりやす解説します。
2020/12/16
鉄欠乏症貧血を慢性化させないための鉄分補給について、1日の必要量や摂取し続ける理由、ヘム鉄と非ヘム鉄の特徴をわかりやす解説します。鉄分についての基礎知識があれば貧血対策がもっと簡単に進められます。
1日に必要だと考えられている鉄分量を説明します。1日に必要な鉄分は男性は10mg、女性は12mgです。
女性の場合は月経もあるので、男性よりも鉄分補給が必要です。逆に閉経後の女性は、少し減って10mgの鉄分が必要です。
妊娠中の女性は1日に20mgの鉄分が必要です。特に妊娠後期になると赤ちゃんも成長して、沢山の栄養と酸素を血中から吸収するので鉄分不足にならないように気をつける必要があります。
つまり、私たちが消費する血液が多いほど、鉄分が必要だとわかりますね。
鉄分は私たちの体内のどこに吸収されているのでしょうか?体内には毎日補充する鉄分とは別の、貯蓄用の鉄分があります。
体内に入った鉄分の3分の2は、ヘモグロビンを生成するために血液に含まれます。ヘモグロビンが生成されると、酸素を肺から体中に運ぶことができます。だから、ヘモグロビンを生成させるためにも、いつも鉄分を摂取してほしいのです。
そして残りの3分の1はというと肝臓や骨髄に貯蔵鉄(ちょぞうてつ)として保存されます。この貯蔵分は、鉄分摂取が効率よく進まなくて体内の鉄分が減少した時に使われます。
体内には常に4g程度の鉄分が保有されています。では1回しっかりと鉄分を補給して、貯蔵鉄と血中の鉄分をいっぱいにしたら、その後は鉄分摂取をお休みできるのでしょうか?
答えは、鉄分摂取はお休みできません。どうしてかというと、鉄分を摂取しても毎日鉄分は、出血以外でも少しずつ消費されているからです。例えば尿に含まれたり、爪や髪の毛の生成にも役立っています。
鉄分が実際に体内でどんなふうに活用されているのかを、簡単に紹介します。
酸素と結合できる・・・血中で酸素と結合できる成分です。
ヘモグロビン生成・・・血中で酸素を運んで貧血を予防します。
筋肉収縮・・・筋肉収縮がスムーズに行う補助をし、筋肉疲労を和らげます。
免疫力・・・粘膜の免疫力を高めて体を丈夫にします。
成長促進・・・鉄分は体の機能を高めて、成長をサポートします。
ここまでで、鉄分がどんな形で体内に存在して、主にどんな役割を担っているのかがわかったと思います。ここからは、鉄の種類について説明します。「鉄分」と一言でいっても、大きく2種類に分別することができます。
先ずは、ヘム鉄(へむてつ)について説明します。
ヘム鉄は、実際にタンパク質と結合してヘモグロビンを生成する鉄分です。体内に吸収されやすいので、この大切な役割が担えるわけです。
ヘム鉄はポルフェリン複合体という組織にガードされているから、胃腸で消化されたりタンニン(お茶やコーヒー)に体内吸収を妨害されにくい強さがあります。
赤身の牛肉や、鶏レバー、豚レバーが鉄分豊富で有名なヘム鉄含有食品です。肉類以外では、カツオやサンマ、アジ、マグロろいった赤身の魚に多く含まれます。
ただし、多くは食事でメインメニューになるものなので、ヘム鉄含有食品以外がメインメニューになると食卓に並ばない日も多くなります。そんなことからも、意識的にヘム鉄含有食品を調理することをおすすめします。
非ヘム鉄(ひへむてつ)について説明します。
非ヘム鉄は、ヘム鉄と違ってポルフェリン結合体のガードがなく、消化吸収しにくい影響を受けてしまいます。だから体内に入っても全てが吸収されるわけではありません。
非ヘム鉄は野菜だと小松菜やホウレン草含まれます。穀類では蕎麦、豆類では豆腐や納豆、海藻類では乾燥ひじきに含まれます。
こうして説明すると「ヘム鉄含有食品を食べたほうがよい」と言っているようですが、けっしてそんなことはありません。よく見ると、非ヘム鉄の含有食品はどれも栄養価が高い食品として有名なのです。
非ヘム鉄は、吸収されにくいデメリットをカバーする食べ方がポイントです。ヘム鉄含有食品や、ビタミンC含有食品の手助けで効果的に摂取してほしいです。