BCGについて。初めての予防接種と生ワクチンに不安を感じるママのために予防接種のBCGについてやさしく解説します。
2020/12/24
BCGとは、結核予防ワクチンの予防接種のことです。BCGは国が定めた定期接種なので、だれもが接種する予防接種です。
BCGが産まれてから最初の予防接種になる赤ちゃんも多く、初めての予防接種と生ワクチンに不安を感じるママも多くいます。納得して予防接種にのぞめるように、BCGについてやさしく解説します。
そもそもBCGは「Basille_de_Calmette_et_Guerin」というフランスの「カルメット・ゲラン桿菌(かんきん)」という単語の略です。
カルメット・ゲラン桿菌はウシ型結核菌の培養を繰り返して作られた、人間に対する毒性がない細菌です。
毒性がないものの抗原(こうげん)はあります。抗原とは、体内に侵入して抗体を作りだす物質です。つまりカルメット・ゲラン桿菌は結核菌の毒性をなくして、私たちの体内で抗体をつくってくれるのです。
だから結核に感染したことがなくても、BCGの予防接種をしておけば、結核に対する免疫が体内で生成されるというわけです。
結核と聞くと、昔の不治の病だと想像しますが、日本には、未だ多くの結核患者がいると言われています。
結核は、結核菌の感染による病気です。空気感染で肺結核になるケースが多く、放置すると体全体に結核菌が行き渡って致死率が高くなります。
結核菌の怖いところは、体の様々な器官に寄生して、主な組織を破壊しようとするところです。肺の器官が結核菌に攻撃されると肺出血がおこり、それが喀血(かっけつ)といって、口から血を吐きだす症状をひき起こします。
赤ちゃんはこのような体内の攻撃に対して、防御の力がまだ弱く重症になりやすいので、結核の治療よりも予防を最優先で考えるべきです。その予防で最も効果的だと考えられるものが、BCGの予防接種です。
BCGは定期接種として受けることのできる期間が、6ヶ月未満です。そのため、赤ちゃんが受けることのできる1番最初の予防接種として認識されています。
6ヶ月未満の赤ちゃんは、ママの免疫があるから病気にかからないと思われがちですが、結核に対する免疫はママからもらうことができないので、赤ちゃんの免疫に関係なく早めに予防する必要があります。
BCGは、定められた期間で集団接種することが多いので、案内がきたら予定を空けておきましょう。
国が公費で負担してくれる期間は生後6ヶ月未満なので、生後3~5ヶ月頃がBCGの予防接種の時期だと考えてください。
BCGの予防接種費用は、国が定めた定期接種の1つなので家庭で負担する支払いはありません。ただし公費で負担してもらえるのは生後6ヶ月未満。それ以降は自己負担になります。
生後6ヶ月以降のBCGになっても必ず予防接種は受けてください。任意接種に切り替わるとはいえ、結核は赤ちゃんの重篤化が心配なので、限りなく定期接種に近いものだと考えてください。
定期接種期間を過ぎても、BCGの必要性から、地域で補助や負担をしてくれる場合もあります。早めに問い合わせて接種してください。
BCGのワクチンは、生ワクチンです。生ワクチンは細菌が生きている状態で、毒性だけ弱めたものです。
これを予防接種で体内に取り込むと、細菌が増殖して、その病気にかかったと同じ抗体がつくられます。
生ワクチンは体内に入っても、毒性を弱めているので赤ちゃんでも大丈夫です。ただ毒性が極めて弱いとはいえ、細菌やウイルスが体内に侵入することに変わりはないので、微熱や発疹が副反応としてでてしまうことがあります。
BCGの生ワクチンに関しては、注射ではなく管針法というスタンプ形式で接種します。スタンプは針が9本ついていて、そこからワクチンが投与されます。この接種のしかたはBCG特有で、スタンプ接種・はんこ接種と呼ばれることもあります。
スタンプは腕の場所をずらして2ヶ所にうちます。予防接種後1ヶ月で、針の跡が赤い穴のように残っていれば大丈夫です。
BCGのスタンプ接種の前に、必ずツベルクリン反応をチェックします。これで結核に感染していないか確認できます。
ただし法改正で現在は、生後6ヶ月未満の定期接種の赤ちゃんのみ、ツベルクリン反応をせずにBCGの予防接種を行っています。