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小児糖尿病

初期症状では痛みや合併症状で生活が不便に感じることもないので気が付かずに治療を受けないこともあるそうですが、1番心配なのは糖尿病の進行で命に関わる合併症状が出ることです。

パパと赤ちゃん

2020/12/20

小児糖尿病とは、子どもに発症した糖尿病で、血糖値が通常よりも高い状態が慢性化し、体内でエネルギーになるべくブドウ糖が吸収されずに血液中にあふれる病気です。

初期症状では痛みや合併症状で生活が不便に感じることもないので気が付かずに治療を受けないこともあるそうですが、1番心配なのは糖尿病の進行で命に関わる合併症状が出ることです。糖尿病と言えば大人によく聞く病気ですが、実は若い世代や赤ちゃんにも発症する病気です。

小児糖尿病の種類

小児糖尿病は1型と2型に分類されます。子どもに多いのは体内でインスリンが分泌されなくなる1型です。2型はインスリンの分泌はありますが、分泌能力が低下したり、遺伝しやすい特徴があります。大人になってからの発症では2型が多いようです。

子どもが糖尿病になると、以下の症状がでます。しかし、初期では全ての症状が特別目立つわけではありません。

小児糖尿病1型の原因

小児糖尿病1型の原因は、以前は遺伝だと言われていましたが現在は食生活の変化が重要視されています。豊富な食生活による過剰摂取、特に食事以外のおやつに食べる嗜好品の食べ過ぎが指摘されています。

意外なところでは、実は食後の血糖値が上昇しやすい特徴をもつジャガイモが挙げられます。ジャガイモ自体は良い食品ですが、最近はファーストフードのポテトフライやポテトチップス、ポテト系のお菓子が子どもに好まれる為、摂取量に注意が必要です。

現在も、1型は乳幼児から小学生までの子どもが発症しています。なかでも急な発症が多いと言われています。

小児糖尿病2型の原因

小児糖尿病2型の原因は、1型と違って遺伝も影響します。インスリンは分泌されますが分泌能力が低く、欧米化している日本の食生活ではインスリン分泌が不足してしまうのです。乳幼児や子どもは1型の方が多く発症しますが、中高生になると2型の発症が増えます。

一例としては、ペットボトルの嗜好飲料は子どもが好む傾向にあります。ペットボトル症候群と呼ばれ、ジュースや炭酸飲料を1日に1リットル以上飲んでしまう子どもが増えているそうです。このような飲料には大量の糖分が含まれているので、飲みやすいからといって摂取し続けると糖尿病の原因になります。肥満になる可能性が高い食生活では小児糖尿病2型の原因が多くあると考えられます。

小児糖尿病とインスリン

インスリンは亥の後ろに位置する膵臓(すいぞう)で作られ、血糖値の維持に必要なホルモンです。血糖値を下げる役割はインスリンのみです。小児糖尿病1型では、ほぼ自分でインスリンを作れないため外からの摂取が必要です。

インスリンはブドウ糖をエネルギーに変える役割があるので、必然的に周囲のブドウ糖が減って血糖値の上昇を抑えるのです。

小児糖尿病の合併症

小児糖尿病が進行すると合併症の心配があります。目においては視力の低下から始まり、網膜症の心配があります。脳においては、大人でも死因の1つになる脳梗塞が心配です。心臓に関わる合併症には心筋梗塞が挙げられます。

例えば心筋梗塞に至るまでには、先ず高血圧や肥満が引き金となって動脈硬化が起こります。動脈硬化によって血液が通りにくくなると脈が詰まって、心臓に行き渡るはずの血液や酸素が不足してしまいます。心臓の冠動脈が詰まった状態で心筋梗塞が発症します。

あまり初期症状のでない糖尿病ですが、その先には大きな病気の原因になる要素が沢山あるので初期症状が軽くても早期治療を心がけましょう。

小児糖尿病の治療

小児糖尿病1型の治療は大人同様に、インスリン注射と食事療法が中心になります。毎日3食のバランス良い食事は子どもが食べやすいように工夫してみましょう。特にペットボトル飲料やジュースの好きな子どもは間食内容の改善が必要になります。学校へ通うようになると、昼は自分で注射することもあります。

小児糖尿病2型の治療は、肥満の度合いでカロリーコントロールをした食事療法と適度な運動が中心です。特に子どもの場合は、カロリーを抑えるだけでは成長過程において栄養不足になりがちなので、食事量と栄養バランスの配分が難しいところです。

どちらも子どもの治療には家族の支えが大きく影響します。集団生活をするようになると、自分だけ食事内容に気を付けたりインスリン注射をすることに不安を感じることもあります。糖尿病は完治できないと分かると将来に悲観的になりがちです。乳幼児で発症した場合も家族の愛情で協力していき、親子で治療を受けているという考えを持ってあげましょう。

小児糖尿病の予防

小児糖尿病を予防するには、離乳食から始まる食事をバランス良く摂取させて、規則正しい食生活を続けることです。1日30品目が理想とされていますが、これはバランス良い食生活を送る時の目標目安です。味付けは薄めで、インスタント食品やペットボトル飲料などの嗜好品を与え過ぎないよう気をつけましょう。

食事は時間を決めて1日3食を心がけます。欠食をすると、子どもは我慢できずにスナックやペットボトル飲料で空腹を満たそうとする可能性があります。また、1度に食べる食事量が増えて過食に繋がります。

明日葉(あしたば)に含まれるポリフェノールのカルコンは、脂肪細胞を分化してブドウ糖を積極的に取り込む作用があります。これは治療に使われるインスリンと似た作用だと最近注目されています。お味噌汁の具にしたり、料理に取り入れると乳幼児も食べやすくなります。

糖質や脂質の吸収を防ぎ、血糖値の上昇を抑える働きのある食物繊維も、小児糖尿病の予防に役立ちます。そら豆やオートミールは、軟らかく調理すれば離乳食でも使えます。オートミールはよく噛んで食べるので満腹感も得やすく、インスリン分泌も少なく済みます。

そして運動も大切な予防策です。子どもを連れての移動は大変ですが、公園内でお散歩したり、たまには車を使わない日を作ってちょっとした距離を一緒に歩いてみましょう。大人にとっての散歩程度の運動も、子どもには体力を使う運動に値します。

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