ジフテリア

ジフテリアとは、ジフテリア菌が飛沫感染しておこる上気道粘膜(じょうきどうねんまく)の疾患です。感染して菌が増殖されると中耳や皮膚、陰部にも症状が広がったり、心筋炎などの生死に関わる全身症状が現れる危険な病気です。現在の日本では乳幼児期に行う予防接種で防いでいます。

ジフテリアの症状

ジフテリアの症状の大きな特徴は、ジフテリア菌が感染した場所で勝手に増殖する点と、勝手に増殖生産された菌が血流を使って全身に行き渡ってしまう点です。ジフテリアに感染すると2~7日間の潜伏期間があります。最初は発熱や喉の痛みが現れます。発熱は39度近くまで上がります。

鼻にジフテリア菌が感染していると鼻水に血液が混ざったり、上唇にびらんができます。鼻粘膜が侵されて、鼻水や詰まりといった風邪に似た症状が出ます。鼻に感染した菌は喉に侵入していきやすく、真性クループといった犬の鳴き真似のような咳が出ます。

喉に感染すると、真っ赤に腫れあがって、扁桃腺付近に偽膜(ぎまく)と呼ばれる灰色の膜が付着します。簡単には取れず、無理にはがそうとすると出血を伴います。喉の症状が進むと気道にも影響が出て、呼吸困難といった生死に関わる危険な状態に陥りやすくなります。

ジフテリアの偽膜は、体内で死んだ白血球や細菌です。偽膜は時に破れて気道を塞ぐことがあります。乳幼児はこれによって窒息したりチアノーゼを起こして、生死に関わる状態に陥ります。

ジフテリア菌が増殖して体内に毒素を流すと、主に呼吸困難や眼や筋肉の痺れを引き起こします。心筋に影響が出ると心筋炎や、心不全の原因にもなります。重症になると意識障害や、全身症状によって動く事もままならない状態になります。特に体力のない赤ちゃんや子どもには危険な症状とされています。

ジフテリアの原因

ジフテリアの原因はジフテリア菌の飛沫感染です。ジフテリアの診断も、原因となるジフテリア菌の培養で検査します。しかし感染しても必ず症状が出るわけではありません。ジフテリアに感染しても本人は症状が全く出ず、ジフテリア菌の保菌者となります。保菌者から感染して発症する場合もあります。

ジフテリア菌の出す毒素は体内のタンパク合成を止めて障害を起こす為、体内の様々な部位で細胞が死んでしまう可能性があります。ジフテリア菌自体は3種類に分類されますが、特に症状に差があるわけではないようです。

ジフテリア菌は細かくは、コリネバクテリウム属という真性細菌の一種です。その一部には人の常在菌もあり、中でもジフテリア菌は人に対する作用があります。一例として、偽ジフテリア菌はジフテリア菌に大変よく似て人の口腔内に常在する細菌ですが、病原性は認められていません。

ジフテリアの治療

ジフテリアの治療は、ジフテリア菌に効果のある血清(けっせい)注射や抗生剤を処方します。しかも血清注射はジフテリア菌が心筋などの組織に結合する前に行う必要があり、発症から注射までの診断の早急さが必要です。

発熱や食欲不振、呼吸の異常などの諸症状は人それぞれです。それぞれに適した治療、緩和法を取り入れます。飛沫感染の為、看護者や家族はマスクや手洗いうがいを徹底して菌の蔓延を防ぎます。

赤ちゃんの場合は気道の確保を確実にします、もともと赤ちゃんは気道が未発達で狭い為、偽膜によって呼吸困難に陥りやすいからです。体力の消耗も激しくなるので入院や、特別な措置が指導されることもあります。

ジフテリアの予防接種

ジフテリアの予防は予防接種を必ず受けることです。症状の進行が早く、危険な状態に陥りやすい為、日本では予防注射の徹底が推進されています。外国でのジフテリアの流行の原因のひとつに予防接種率の低さも挙げられている程です。

現在の日本では子どもは破傷風・ジフテリア・百日咳の3種混合ワクチン(DPT)か、破傷風とジフテリア(TD)の2種混合ワクチンを受けています。接種方法はその都度見直されますが、間隔の決まった2回に加えて、追加接種をすることで予防の効果を長持ちさせることができます。予防接種の記録は医師が接種時に母子手帳に記録してくれるので、接種時には必ず母子手帳を持参します。

ジフテリアの予防に使われるワクチンはトキソイドと言って、その免疫を損なわないようにホルマリン等で無毒素化したものです。とキソイドを体内で抗原として、対抗できる抗体を体内で生産させます。

日本国内では、予防接種の徹底によって子どもがジフテリアに感染することはありません。しかしジフテリアの予防接種が完全でない国や衛生状態が不安定な国に行くと、まだまだ感染の可能性のある病気なので注意が必要です。特に海外に渡航する予定の赤ちゃんは、早期の予防接種計画をお勧めします。