室園久美さんが書いた絵本、「ママ」について説明と感想を書きました。「ママ」は育児に対して真面目に取り組むママにおすすめの絵本です。
2020/12/19
「ママ」は、アートディレクターの室園久美(むろぞのくみ)さんが書いた絵本です。コピーライターの間部奈帆(まなべなほ)さんの柔らかいイラストが各ページに添えられています。2012年に主婦の友社から発行されました。
発行されてわずか1年足らずで、母親が読んで泣ける絵本として育児中のママや、子育てを経験した女性が感動しています。
「ママ」は文章が簡潔です。1ページにある文章は、ほんのちょっとです。挿絵も柔らかくて温かいので、見ているだけで癒されます。だから疲れて本を読むことも面倒なママでも、構えずに開いてください。
絵本の「ママ」には、ママになったら経験することが沢山詰まっています。例えば赤ちゃんが泣いた時に、ママはどうするかが書かれています。当たり前のことだけど、誰もがうなずく光景ばかりです。
「なんて ちいさなてあし」「なんて やわらかなおしり」という言葉が書かれているページがあります。当たり前だけど「本当にその通り!」とうなずいてしまいます。
赤ちゃんの可愛さも、大変なところも、困ってしまうところも全部、多くのママが感じていることなんだとわかります。だからページを開くたびに共感してしまうのです。
また、「ママ」の表紙はママを見上げる赤ちゃんです。子育てをしている時に抱っこをせがむ赤ちゃんや、ママのそばに来てくれる時に見おろすと、ママを見上げて両手を伸ばす赤ちゃんがいます。こんな赤ちゃんの姿を見たことのあるママも多いはずです。
絵本を読んで共感することは、その絵本に引き込まれることです。この絵本には共感がたくさん詰まっているから、多くのママが引き込まれてしまいます。
「ママ」の1ページに、抱っこしている赤ちゃんを布団におろそうとすると泣きだすシーンがあります。これが私には1番共感できるところでした。布団に降ろそうとしたら泣きだす赤ちゃんの泣き顔と、「しまった!」と思っているようなママの顔に、自分の子育て生活が重なりました。
ただ共感しただけで、こんな時にどうしたらよいのかは何も書かれていません。それでも読んだ後は気持ちが軽くなりました。
たぶん、布団に降ろそうとしたら泣くなんてことは経験した人としか話せないことで、私は今までその話題で盛り上がったことがなかったからかもしれません。
ずっと心にしまっていたことが、言葉になったことでスッキリしました。絵本になるほどよくあるシーンなんだと思ったら、泣きだす赤ちゃんに怒りを感じたり、何度も寝かしなおす自分を責めることもしなくて良いと思えるようになりました。
絵本の「ママ」は、子育て中のママや育児経験者ならどこかしら共感できる部分が見つかると思います。でも、1番読んで欲しいのは、まさに今、子育てを始めたばかりの新米ママです。
初めての育児では、ネットや育児本を読んでは当てはまるかどうか確認したり、書かれているようにできているのか確認したくなる時があります。そんな時は育児に自信がなかったり、ちょっと不安がある時かもしれません。
「おりこうな赤ちゃん」を育てたいと思っていれば、思うほどに現実とのギャップに驚きます。そして、おりこうに育てることができない事実を変えたくなります。それは、良いママでありたいからです。
でも本当はマニュアルはあってないようなものです。「ママ」を読めば、すんなり進むことばかりじゃないとわかります。
布団に降ろそうとするとわかったように泣きだす赤ちゃんや、夜中に抱っこして家の中をウロウロするママも育児生活においては、さして珍しいことではないと伝わると思います。
育児に対して真面目に取り組むママほど、疲れをためてしまいます。時には月齢ごとの育児マニュアルや予定を忘れて「ママ」を読んで、あかちゃんて思い通りにはいかないし、何を考えているかもわからないものだと共感してみてください。
困ったことに解決方法は何も書いていませんが、きっと心が軽くなります。
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