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新しい小児肺炎球菌ワクチン、期待と不安

新しい小児肺炎球菌ワクチンの発売が決まりました。予防可能な血清型も増える新ワクチンへの期待と、発売まで現ワクチンの接種控えが心配されています。

かごに乗る赤ちゃん

2020/12/24

新しい小児肺炎球菌ワクチンの発売が決まりました。予防可能な血清型も増える新ワクチンへの期待と、発売まで現ワクチンの接種控えが心配されています。

新しい小児肺炎球菌ワクチン

新しい小児向けの肺炎球菌(はいえんきゅうきん)ワクチンが、従来の小児肺炎球菌ワクチンとどう違うのかを、まとめて紹介します。

こう説明すると、従来の肺炎球菌ワクチンが「昔から改良されていないワクチン」のように聞こえるかもしれませんが、実際は小児用肺炎球菌ワクチンは日本では2010年に発売されたばかりで、日本国内では歴史の浅いワクチンです。

現在の小児用肺炎球菌ワクチンは「プレべナー」、これも日本で定期接種に認定されたのは平成25年4月1日からです。

従来のワクチンと、新ワクチンの大きな違いは予防できる細菌の種類です。現在のワクチンでは7種類ですが、新ワクチンは13種類のタイプの細菌を予防するようになります。

厚生労働省は、現段階では、年内にも新ワクチンへの移行を予定しているそうです。

心配される接種控え

予防接種

従来のワクチンと、新しいワクチンに対しては考え方も人それぞれです。AさんとBさん、2通りの意見があります。あなたならどっち?

Aさん「新しいワクチンの効果のほうが期待できるから、数ヶ月はワクチンなしで生活して、新しいワクチンに切り替わったら接種したい」

Bさん「現状のワクチンでも効果がないわけではない、無防備な期間をつくるくらいなら予定通り予防接種させたい」

肺炎球菌ワクチンに限ったことではありませんが、新しいワクチンがつくられると、従来のワクチンを接種しようと予定していた人が、新しいワクチンを接種できる時期まで予防接種スケジュールを先延ばしする動きが見られます。

最近では、ポリオの生ワクチンが不活性化ワクチンに変更される発表をうけて、経口投与や副反応に不安を抱いている保護者が、不活性化ワクチンへの移行を待った動きが見られました。これはAさんの考えですね。

新しいワクチンに切り替わるということは、よりワクチンの効果や副反応に安心できると考えるのが普通ですから、わが子には新しいワクチンを摂取させたいと思うものです。

ところが、新しいワクチンのために先延ばしにしている期間が、結果的には非常に無防備な期間になってしまうと指摘されています。

せっかく、その病気にたいする防御力が強まるはずのワクチンを接種できるのに、予定を先延ばしにしたために体調を崩したり、感染しやすい状況を作ってしまっては意味がありません。

だから時期がきたらBさんのように、ワクチンの新旧に関わらず予防接種する家庭もあります。

赤ちゃんの場合は、保護者の判断にゆだねられる部分が大きいので、AさんもBさんも「なにを優先すれば赤ちゃんにとって最も安全かつ健康的か」を考える必要があります。

肺炎球菌とは

そもそも肺炎球菌とはなんでしょう?ワクチンで予防する病気や症状についても、わかりやすく説明します。

肺炎球菌が原因でおこる病気で有名なのは、肺炎や気管支炎といった呼吸器系の病気です。赤ちゃんがかかると呼吸が苦しいので見ている親も心苦しい症状です。

呼吸器官系だけではありません。副鼻腔炎(ふくびくうえん)や中耳炎(ちゅうじえん)、細菌性髄膜炎(さいきんせいずいまくえん)といった病期もひき起こす原因になります。

このように「肺炎球菌」といっても、肺炎だけに影響するのではなく全身に影響する菌だと認識してください。特に乳幼児や高齢者など基礎体力の少ない人は重症化や進行が早いと心配されています。

乳幼児に関しては、髄膜炎に発展する可能性が大人よりも高いと考えられることもあり、予防対策に注目が集まっています。

肺炎球菌のワクチンについて

肺炎球菌の怖さは、ひき起こす症状が多いので家庭生活で気をつけるだけでは予防しきれないところと、重症化すると後遺症が残ったり生命に関わる症状があるところです。だからこそ、予防接種による対策が必要だとも考えられます。

とはいっても、「肺炎球菌の予防接種の副反応こそ怖い」という意見があります。赤ちゃんの健康を第一優先に、保護者が予防接種を受けるかどうか決定することは容易なことではありません。

噂に流されない判断を!

肺炎球菌ワクチンに関しては、同時接種できるHibワクチン(ひぶわくちん)とセットでの話しが多いです。特に乳幼児の副反応は深刻なケースがあるという情報もあります。

こうした情報はとても大切ですが、噂話だけに流されて判断することのないように気をつけてください。特に副反応に関しては、誰もが同じ症状になるとは決まっていません。赤ちゃんそれぞれの体調やアレルギーの有無も影響するので、各自で医師に相談してください。

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