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歯の構造をやさしく解説

私たちの歯の形は大きく4種類に分けることができます。正確には鏡で歯を見た時に見える部分、歯の歯冠(しかん)と呼ばれる部分のことです。

ママに抱っこされる赤ちゃん

2020/12/24

永久歯は32本

私たちの歯の形は大きく4種類に分けることができます。正確には鏡で歯を見た時に見える部分、歯の歯冠(しかん)と呼ばれる部分のことです。永久歯は全部で32本あります。32本の中身は同じ構造で作られています。これをイラストを使ってやさしく解説します。

先ず、「前歯」です。う上の歯と下の歯では大きさに差がありますが、口を開いた時の中心から左右に3本ずつ、合計12本を前歯と考えます。

次に、「犬歯(けんし)」です。犬歯は、「八重歯」や「糸切り歯」とも呼ばれる尖った先が特徴です。これは前歯の隣に左右1本ずつ、合計4本です。

3種類目は「小臼歯(しょうきゅうし)」です。小臼歯は奥歯の中では小さいタイプの歯だと思ってください。犬歯の隣に左右2本ずつ、合計8本です。

4種類目は「大臼歯(だいきゅうし)」です。硬い食品や、噛みにくい食品を食べる時に欠かせない大きな奥歯です。左右の奥に3本ずつ、合計12本です。

鉄より硬いエナメル質

エナメル質

歯の表面をコートしているのはエナメル質です。厚さは2~2.5mm程度で、歯の表も裏もエナメル質で覆われています。

エナメルと聞くと靴や小物に使われる艶があって柔らかめの素材を想像しますが、歯のエナメル質はちょっと違い、人間の体の中でも最も硬い組織です。

具体的にどのくらいエナメル質が硬いか、「ものを引っ掻いた時の傷のつきにくさ」を基準としたモース硬度を用いて説明します。モース硬度は主に鉱物に適用され、10段階に分けられます。

1が判断基準の中では最も柔らかなもの、10がモース硬度の判断基準の中では最も硬いと考えてください。10はダイヤモンドです。そして歯のエナメル質は6に値すると考えられています。これは水晶やターコイズと同じ硬さなのです。

私たちの爪の硬度は約2.5、宝石の真珠は4.5程度です。木工用の釘も5にいかない程度なので、歯のエナメル質はそれなりに硬いものだとわかります。

こんなに硬い歯の表面のエナメル質ですが、とっても面倒な弱点を持っています。それは「酸に弱い」ことです。

酸といえば、口内がアルカリ性から酸性よりに傾くと虫歯になりやすいと言うように、歯の表面を溶かす成分です。酸は歯の表面のエナメル質を溶かします。これが虫歯のきっかけになってしまうのです。

虫歯が進みやすい象牙質

象牙質

エナメル質の下には象牙質があります。象牙質はエナメル質よりも少し柔らかいと考えてください。だから、頑丈なエナメル質を通過した虫歯が象牙質に侵入するのは簡単だとも考えてください。象牙質は虫歯の進行が進みやすい場所なのです。

象牙質の厚さは2~3mm程度です。歯の表面のエナメル質は実は無色に近く、歯が白や生成色に見えるのは象牙質の色です。ちなみに象牙質の色が変色した時は、歯磨きや歯磨き粉では改善されないと言われています、真っ白な歯にしたい時は専門的な処置が必要です。

象牙質は普段は見えませんが、虫歯が進んで歯の上部(歯冠)のエナメル質が溶けると象牙質がむき出しになります。厄介なことに、象牙質は刺激や虫歯の進行で痛みを感じてしまいます。

正確には歯の構造では半分以上が象牙質です。象牙質の中では中心に向かって、歯の神経である歯髄(しずい)をいれるポケットがあるのです。歯髄に向かって象牙細管(ぞうげさいかん)が走っています。これが神経伝達機能となって、歯髄にいく衝撃は全部痛みになってしまいます。

歯の神経である歯髄

歯髄

歯の断面図を見ると、中央にあるのが歯髄(しずい)です。象牙質の中の歯髄腔(しずいこう)というポケットに入っていると考えてください。だから通常は私たちが鏡で歯を見ても、歯髄までは見えません。

歯髄はとてもやわらかい組織で、集まった血管や神経で歯全体へ栄養を行き渡らせます。もしも、歯髄がむき出しになって食事や水分が直接、歯髄に触れてしまったら激痛が走ります。

ところが我慢をし続けて痛みに対処しないと、やがて痛みが消えてしまうことがあります。これは決して、自然治癒したわけではありません。痛みを完治できないほど歯髄が機能しなくなっているのです。歯髄が死んでしまったり元気が無くなると、歯に栄養が行き渡らないので結果的に歯全体をダメにしてしまいます。

歯茎の中のセメント質

セメント質

私たちの目で確認できる歯の表面はエナメル質、歯茎に隠れた根っこの部分の表面はセメント質です。

セメント質と言っても、あの固まると硬いセメントとはちょっと違います。セメント質は生えたばかりの歯ではとても薄く、加齢とともに厚みを増してしっかり成長します。だいたい0.1~0.5mmですが、成分は骨と似ているので、薄いといっても丈夫です。

セメント質と、それを覆う歯根膜(しこんまく)が、私たちの歯を歯茎の中の歯槽骨(しそうこつ)に接着させています。でも、歯髄が虫歯の細菌などで機能を失うとセメント質剥離(せめんとしつはくり)になって、剥がれることもあります。

剥離場所は細菌の温床になりやすいので、歯だけではなく歯茎の中の歯周組織まで悪化させる恐れがあります。つまりセメント質は、歯の健康と歯周組織の健康の両方に影響しているのです。

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