唾液には沢山の役割があります。唾液の役割を大きく5つの項目にして説明します。
2020/12/24
唾液には沢山の役割があります。唾液の役割を大きく5つの項目にして、わかりやすく説明します。赤ちゃんは沢山よだれが出るイメージがありますが、けっして悪いことではありません。乳幼児期に唾液の出る唾液腺(だえきせん)を発達させると、大人になってからも唾液が口内の健康維持に役立ちます。
唾液の役割は、大人にも赤ちゃんにも効果的なことばかりです。唾液が足りないと、ドライマウスと言って口腔乾燥症(こうくうかんそうしょう)という病気にもなってしまいます。
唾液は私たちの口の中を流れて、汚れや食事カスを停滞させません。歯の表面についた食事カスや細菌も唾液があれば流れたり、硬く張りつくことを防止できます。
唾液の量は、想像できないかもしれませんが1日で1.5リットルのペットボトル1本分にも匹敵します。
うがいをして口内の汚れを取り除きたいときは、マウスウォッシュ液や水を使いますが、もともとは唾液が同じ仕事をしてくれています。だから、うがいのできない赤ちゃんは唾液が多くても問題ないのです。
唾液は歯を再石灰化する重要な役割を担っています。再石灰化とは、簡単に言えば、溶けだした歯の表面を素に戻そうとする働きです。
歯の表面が溶けだすのはミュータンス菌が糖などを使って活動するからです。歯の溶けだしが進行すると、やがて穴があいて虫歯が歯の内部にまで進んでしまいます。
だから虫歯をくい止めるには、歯が溶けださないようにすることが大前提です。でも、唾液があれば歯が溶け始めた初期症状でも、元の状態へ戻すことが可能です。これが歯の再石灰化です。
溶け始めた歯の表面に唾液が流れることで、酸性に傾いている歯をアルカリ性に戻して虫歯菌が活動しにくい環境に戻してくれます。
唾液が口内に流れることで、私たちの口の中は潤います。普段は気にしませんが、頬の内側を舌で触ると滑らかなのも、唾液が表面を潤しているからです。
風を口の中に入れると、口の中が引っ張られるように乾きます。この状態が、唾液の無い口内だと思ってください。こんな状態では声を出すことも困難です。
口内が乾燥すると、喉の調子も悪くなりがちです。唾液は唾液腺から分泌され、口内を潤してから喉に流れていくので自然と喉の調子も整えてくれます。
唾液は、歯に付着する細菌を洗い流してくれるので、細菌の活動を抑えてくれる働きがあります。
口内のトラブルで厄介なことは、細菌の繁殖です。湿気もあって温度もある口の中は、細菌にとっては繁殖しやすい環境です。
細菌の活動は具体的には、食べ物に含まれる炭水化物を分解した糖や、糖分と結合して酸を作りだすことです。酸は、虫歯菌が活動しやすく、歯を溶かしやすい環境を作ってしまいます。
唾液は殺菌作用もあるので、口内を一掃して細菌を減らしてくれます。虫歯菌だけではありません。病気の原因になる細菌も殺菌して、体内への侵入を邪魔してくれます。もしも細菌が殺菌されずに口内で繁殖すると、口臭も強くなりがちです。
食事をするとき、水分が欲しくなります。唾液が分泌されれば、食事中の水分の代わりになります。
唾液はそのままではかみ砕いたり飲みこむことが困難な食品も、水分で柔らかくして食べやすくしてくれます。その後、食事を胃まで運ぶ仕事もします。
よだれの多い赤ちゃんは、最初は飲みこむ作業が上手にできません。飲みこむよりも口元から出してしまうことが多く、いつもよだれが出ている赤ちゃんもいます。
大人から見ると、よだれを沢山だして不衛生に見えるかもしれません。よだれで口元が荒れてしまったり、服が濡れることもあって良い印象を受けないかもしれません。でも本当は、よだれが多いことで良いことは沢山あります。
だから、よだれの分泌は乳幼児期に発達してほしい1つです。よだれは唾液腺(だえきせん)という口の上下にある組織から分泌されています。
子どもは、食事でジュースなど水分を飲むことがあると、唾液腺が期待通りに発達しないそうです。ちゃんと噛まなくても水分で流し込んでしまうからです。よく噛めば、唾液腺を刺激して、食事中も唾液を分泌できるのです。