ライ症候群は特に肝臓に脂肪が付いたり、黄疸がでていないのに肝機能障害があこることも特徴の1つです。
2020/12/20
ライ症候群とは、子どもが水ぼうそうや風邪に感染した後で、回復傾向にあったとしても脳の意識障害や臓器障害が起こる病気です。ライ症候群と診断されることは多くはありませんが、ライ症候群はインフルエンザ脳症の1つとされて死に至るケースが多く報告されています。ちなみにライというのは、この症状を発見した医師の名前「R.D.K.Raye」を語源としています。
ライ症候群の症状は、意識障害、嘔吐、けいれん、肝臓などの臓器の異常が挙げられます。発熱に対してアスピリンを投与された後で、急性脳症に加えて肝臓に脂肪が蓄積される症状が報告されています。
最初は風邪や下痢、インフルエンザにかかることから始まります。薬の投与もして回復に向かうか、あるいは様態が落ち着いた場合でもライ症候群は発症します。
進行に個人差はありますが、もともとの風邪やインフルエンザの症状が回復に向かっても、元気がなくなり、話しかけても返事がなくなってきます。その後で全身がけいれんして意識がほとんど無い状態に陥ります。これは脳症と診断される症状ですが、ライ症候群はその症状に加えて脳の意識障害や臓器障害が併発します。数日以内に昏睡状態に陥り、呼吸にも異常が出ることがあります。
特に肝臓に脂肪が付いたり、黄疸がでていないのに肝機能障害があこることも特徴の1つです。肝機能の異常は出血しやすい原因になります。悪化すると脳の異常で浮腫ができ、酸素が行き渡らなくなって呼吸障害が起こります。
ライ症候群の原因は不明です。しかし、インフルエンザなどの治療で解熱鎮痛剤のアスピリンを投与した小児患者に多くライ症候群の発症があったと報告されています。確実な理由として発表されてはいませんが、アメリカではアスピリンの使用を控えたところ、ライ症候群の発症が激減したと報告されています。
ライ症候群は時間経過で症状が落ち着いたり自然治癒することがなく、悪化してしまう特徴があります。その為、早期発見と治療が重要です。発端となる風邪やインフルエンザの際は治りかけたと判断しても、よく観察して最後まで通院や医師の指示を仰ぐことを怠らないことが大切です。
ライ症候群自体の原因が不明な為、直に対抗する薬や治療法は現時点では見つかっていません。けいれんが続く場合はけいれん止め、肝機能の障害からくる出血には輸血、呼吸の異常には呼吸器等の人工的な補助が考えられます。どの症状が特筆するかは人それぞれです。
脳の浮腫には、浮腫を水分として尿にする働きをもつ点滴を打ちます。尿として水分を排出することで浮腫を和らげて症状の進行を止めます。
ライ症候群の発生件数は昔よりもかなり減りましたが、死亡する確率は40%前後と高く、早期発見による迅速な初期治療が重要だと言われています。
ライ症候群には、解熱鎮痛剤として使われるアスピリンが関与しているという説が根強くあります。しかし、厳密には日本では確証しがたい説だとも言われています。日本では、もともと乳幼児に与えるアスピリン量が、海外に比べて少量なので比較しにくいのです。
アスピリンとはアセチルサリチル酸とゆう解熱や鎮痛に使われる成分です。ドイツのバイエル社が名付けた製品名が「アスピリン」という呼び名が有名で、日本でも「アスピリン」と呼ばれています。乳幼児が、インフルエンザ等のウイルス感染の疑いのある発熱時にアスピリンを大量に服用するとライ症候群の原因になりかねない為、解熱・鎮痛にはアセトアミノフェンを使います。
ですから、大人に対して処方されたサリチル酸系の解熱剤や鎮痛剤を子どもに与えるのは危険です。必ず小児用の解熱・鎮痛剤を処方してもらうようにしましょう。