幽門狭窄症(ゆうもんきょうさくしょう)

幽門狭窄症とは、胃の出口の幽門の筋肉が厚くなってミルクの通りが悪くなる病気です。赤ちゃんは、飲んだミルクを噴水のように吐き出してしまう特徴があります。別名、肥厚性幽門狭窄症(ひこうせいゆうもんきょうさくしょう)。

幽門狭窄症の症状

幽門狭窄症は生後2~3週頃から1ヶ月には分かる症状です。母乳やミルクを欲しがって飲んでも吐くようになります。最初はだらっと戻す程度。嘔吐は治まらず、やがて口や鼻から噴水のように勢いよく吐き出します。

胃で消化する時間もないまま吐いてしまうので、空腹でまた飲みたがります。そしてミルクが胃に一杯溜ったら嘔吐・・・この繰り返しを続けます。

結果、どんなに母乳やミルクを与えても栄養を摂取できずに脱水します。栄養不足から体重も増加せず、元気がなくなってしまいます。

以下の症状が見られたら、すぐに受診しましょう。
・母乳やミルクを飲んでも、すぐに大量の嘔吐を繰り返す。
・嘔吐が噴水のように勢いよく噴き出す。
・嘔吐が徐々に酷くなる。
・顔色が土色になる。
・排便が減ってくる。

これらの症状を発見できずにいると、胃にたまった内容物が胃拡張を引き起こす恐れもあります。症状が軽いと、生理的な嘔吐と見分けが付かず、噴水状に吐き出して初めて幽門狭窄症に気が付くことも。

また、特徴である噴水のような嘔吐が目立たないケースのあります。しかし嘔吐量や鼻からもミルクが戻ってしまう事も、診断ポイントです。授乳時の様子に少しでも違和感を感じた時は、早急に医師に相談すると安心です。

幽門狭窄症の原因

幽門狭窄症の原因は、胃の出口で十二指腸に繋がる幽門(ゆうもん)の異常です。通常は食道から胃に食べ物が届くと、幽門を通って十二指腸に運ばれます。しかし幽門が筋肉によって狭くなると、食べ物は先へ進めず逆流します。

なぜ幽門に筋肉が作用してしまうか、根本的な理由はまだはっきりしていません。筋肉の肥大は先天的な理由からだろうという論もありますが、確定していません。しかし統計的には、第一子の男の子に多く見られると言われています。

幽門狭窄症の治療

幽門狭窄症の治療は生後間もない赤ちゃんに対して行うので、早急な受診が大切です。問題となっている部分を切除する手術を行います。先ずは嘔吐を繰り返して弱った体に点滴をして電解質異常を調節します。輸液と母乳やミルクの経口摂取を中止すれば、次第に嘔吐は治まります。

その後、幽門の筋肉に切り込みを入れて狭くなった幽門を広げます。この方法は、幽門筋層切開術(ラムステット手術)と呼ばれています。手術は1時間程度で、特別に危険なリスクは持ち合わせていません。

入院期間は1週間~10日程度で、手術後は母乳もミルクも飲めるように。後遺症の恐れは報告されていません。通常の手術は1回だけで済みます。

また、アトロピンとゆう薬を使う事もあります。アトロピンは消化器や気管の緩和に用いられます。赤ちゃん自身の哺乳する体力によっては胃にチューブでミルクを補充します。

幽門狭窄症からくる低カリウム血しょう

赤ちゃんが栄養を摂れずに嘔吐を繰り返すと、低カリウム血しょうの恐れが出てきます。幽門狭窄症で激しい嘔吐によって体内のカリウムが消火液と共に吐き出されます。

カリウムが欠乏すると、嘔吐や倦怠感が増します。治療は原因となる幽門狭窄症を改善する事です。赤ちゃんが自力で回復できない場合、カリウムを補充します。

低カリウム血しょうは悪化すると、全身の至る箇所に不具合が生じます。重症におちいると、不整脈(ふせいみゃく)や四肢麻痺(ししまひ)を引き起こします。