e-育児top育児用語辞典 乳腺炎(にゅうせんえん)

乳腺炎(にゅうせんえん)

初乳は特に濃くてドロリとした特徴があり、乳管の詰まりのきっかけにもなります。新生児は哺乳力が未発達な為、初乳が乳腺に残ることがあります。

高い高いされる赤ちゃん

2020/12/20

乳腺炎とは主に産後に母乳を生成する乳腺が炎症を起こして、痛みや発熱を伴う病気です。母乳育児をしているママが乳腺炎にかかると、病院によっては授乳中断の指示もあるので赤ちゃんの混乱を招き、その後の母乳育児の妨げになることがあります。

化膿性乳腺炎

赤ちゃんが授乳中に乳首を傷付けてしまったり、乳輪が傷付いて、そこから黄色ブドウ球菌を中心とした細菌が乳腺まで感染してしまうことがあります。この細菌感染が原因の乳腺炎を化膿性乳腺炎(かのうせいにゅうせんえん)と呼びます。細菌は赤ちゃんの口腔内から、もしくは

授乳中に乳首は皮膚も薄く敏感な為、赤ちゃんの哺乳力の強さから傷付く事も珍しくありません。特に乳歯が生え始めた赤ちゃんは、生え際がむずむずする為、歯固めを使用することもあるかと思います。おなじ要領で授乳中の乳首を噛んでしまうこともあります。

化膿性乳腺炎の症状

急性化膿性乳腺炎(きゅうせいかのうせいにゅうせんえん)は乳腺炎と呼ばれるなかでも最も症状が目立ち、ママにとっても辛い症状です。乳腺が腫れて赤みを帯び、痛みが生じます。腫れた乳腺は熱を持つので、38度程度の発熱を伴うことがあります。

化膿性乳腺炎の治療

化膿性乳腺炎と診断されたら、授乳は症状が落ち着くまでできないことが多いです。特に傷口からの再感染は防がなければいけません。細菌の感染拡大を防ぐ為に抗生剤が処方され、乳房や患部を冷やして熱を和らげます。

問題なのは治療中の授乳です。急に粉ミルクや哺乳瓶に代わるので、赤ちゃんが動揺して飲みたがらないこともあります。離乳食が進んでいる場合は、離乳食を少しずつ増やして進めていきますが、母乳のみで哺乳瓶の乳首を経験していない赤ちゃんは、哺乳瓶の乳首だと飲みにくく感じることもあります。

下着は綿や授乳専用の肌に刺激のない素材で、フルカップのデザインを選びましょう。あまり締め付けない方が、患部も楽です。

化膿性乳腺炎の予防

化膿性乳腺炎の予防策は授乳前後の乳首の清浄で、ある程度は効果があります。少しでも乳首に傷ができたり、赤ちゃんに噛まれた部分が痛い場合は早めに受診して悪化を防ぎましょう。

化膿性乳腺炎は授乳期間だけではなく、普段から乳首を清潔にしていないと起こりうる病気です。卒乳後も注意しましょう。

うっ滞性乳腺炎

初産で若い女性は特に、乳管が全て開通しないまま授乳を始めることになると、乳房の中にできた母乳を乳首に運び出す乳管が詰まって、生成された母乳が乳房内にとどまって炎症を起こしてまいます。この炎症を起こす乳腺炎を(うったいせいにゅうせんえん)と呼びます。

初乳は特に濃くてドロリとした特徴があり、乳管の詰まりのきっかけにもなります。初乳は必ず新生児に与えるべきだという話を産院でもよく聞きますが、新生児は哺乳力が未発達な為、初乳が乳腺に残ることがあります。この時、ママが絞り出してケアするのですが、初産の場合はめまぐるしい出産後の変化でうまくいかないことも多々あります。

うっ滞性乳腺炎の症状

うっ滞性乳腺炎は乳房全体が赤く腫れて硬くなります。この時、乳管が詰まって外に出れない母乳が内部に停滞している状況ですから圧迫感を感じるかもしれません。しこりができると、少し触れただけでも痛みを感じて微熱も出ます。悪化すると脇のしたのリンパ節も腫れます。

うっ滞性乳腺炎の治療

うっ滞性乳腺炎の治療では抗生物質が出ます、乳房の硬さが戻るように授乳は休んで治癒に努めます。しかし、医師や助産師さんにもよりますが、軽い症状ならば授乳で乳管を広げていく指導をする場合もあります。どちらも症状をよく説明して指示に従いましょう。

腫れて熱っぽい時は冷やしたタオルなどを当てます。あまり冷やしすぎると血流が悪くなるのでほどほどに。下着も授乳専用の締め付けのないフルカップのデザインを選ぶと刺激が少ないです。

うっ滞性乳腺炎の予防

うっ滞性乳腺炎の予防策は、授乳後の乳房内に母乳を残さないことです。しかし初産婦の場合は乳管が全て開ききっていないことの方が多いので、よく温めてマッサージをしてあげます。(すでに腫れていたり微熱を伴う場合は温めずに適度に冷やします。)

赤ちゃんは最初は哺乳力が弱く1度に飲む量も少ないので、生成される母乳の方が多いかもしれません。しかし赤ちゃんは回を重ねるごとに上手に飲めるようになり、量も増えていくので諦めずに授乳して乳管が詰まらないようにします。授乳後には必ず搾乳して内部の乳汁を出しますが、このとき乳首を軽くマッサージしておくと乳管の汚れも取れやすくなります。

乳腺炎の心のケア

乳腺炎にかかってしまうと、母乳を欲しがるわが子を前に、授乳してあげられないことで悲しく思うママもいるでしょう。もしくは乳腺炎にかかってしまったことが赤ちゃんに申し訳ない、可哀そうなことしたと罪の意識を感じるかもしれません。

しかし乳腺炎は授乳期には珍しくない症状です。すこし乳房もお休みさせてあげようと思って、治療に専念しましょう。完治後の母乳は乳腺が清浄に働いて、おいしく健康的な母乳が出るものです。そして治療中も、赤ちゃんとの抱っこを介したコミュニケーションを忘れずに。

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