川崎病は1歳頃~4歳以下(発症者の約80%)の乳幼児がかかる病気で、原因は不明ですが男の子に多く発症しています。
2020/12/20
川崎病とは、全身の動脈の血流に炎症がおこる病気です。原因不明の発熱から始まり両目の充血、唇の腫れや苺状の舌症状が出ます。病名の由来は発見者の川崎医師からとったもので、川崎市などの地名とは無関係。
以上が川崎病における代表的な6つの症状です。この中から5つの症状が当てはまり、その他の病気の可能性が無い場合に川崎病と診断されます。他にも個人差があるものの頭痛、腹痛、下痢、けいれん等を引き起こすケースも。
発熱は抗生物質や座薬にはあまり反応しないようで、体内の血管の炎症が治まると自然と落ち着きます。5日間以上の高熱がほとんどですが、発熱が5日以内のケースも。必ずしも高熱になるとも限りません。
発疹は様々な大きさで肌の至る所に広がりますが、強い痒みや痛みはないようです。しかし唇が赤く腫れ上がり、舌に苺状のブツブツができて、喉もかなり赤く腫れます。赤く腫れあがった口内や喉粘膜は痛みがでることも。
川崎病は1歳頃~4歳以下(発症者の約80%)の乳幼児がかかる病気で、原因は不明ですが男の子に多く発症しています。特に1歳前後の発症が多く、年齢的に患者本人が痛みや辛さの症状を説明できない部分があります。
最も危険な症状は心臓を取り巻く冠動脈に何らかの症状が出る時です。冠動脈に異常がおこると、心臓に影響を及ぼす危険があります。悪化すると狭窄症や急性心筋梗塞にもなる恐れがあります。
しかし5つが当てはまらず4つしか症状が出ていない場合も、川崎病と診断されることが。これは不完全型の川崎病と診断されます。当てはまる項目が少なくても心臓の冠動脈(かんどうみゃく)に何らかの異常がある場合は川崎病として、同様に早急な治療を要します。
川崎病で最も危険な症状は冠動脈(かんどうみゃく)の異常です。
冠動脈は心臓を取り囲むように走っていて、心臓に酸素と栄養を運ぶライフライン的役割を担っています。心臓は全身に血液を巡らせる為に止まる事無い筋肉の収縮運動をしていますが、そのパワーを運んでくるのは直径2~4ミリの冠動脈です。
他の動脈と違う点は、心臓の収縮時に血流が減り、拡張時には血流が盛んになることです。つまり冠動脈は心臓と密接した存在なのです。
その為、冠動脈が狭窄症(きょうさくしょう)で更に細くなったり閉塞(へいそく)した場合、ただちに心臓へ送られるはずの酸素が足りなくなり、心臓に重大な障害を残す可能性が高くなります。
栄養不足から心臓の筋肉が収縮できなくなって一時的に血液不足に陥ると狭心症(きょうしんしょう)、更に筋肉の細胞が壊滅すると心筋梗塞(しんきんこうそく)という命にかかわる病気を併発する恐れがあります。
いくら子どもの病気と言えども、冠動脈に影響がある川崎病は悪化すると命に関わる病気で、冠動脈が炎症を起こして詰まって急性心筋梗塞になると突然死してしまうことも。
川崎病は発見されてまだ50年経っていない病気で、はっきりと原因が確定されていません。しかし厚生省の川崎病を研究する機関がダニ、農薬、水銀、抗生物質、溶連菌、リケッチア、カンジダ、ウイルス、サンギス菌の9種を研究に使用したという程ですから原因はいずれ解明されるでしょう。
他にもアジア諸国での患者が多いことから遺伝説や、様々な意見がありますが、どれもはっきりと解明されていません。
川崎病の治療は、血流が留まらないように予防する為にアスピリンが投与されます。アスピリンによって解熱効果と血液の凝固を防ぎやすくできます。症状が治まったあとも数ヶ月は、経過診察と共にアスピリン投与をします。
そして人間の血液から様々な抗体を取り出して生成したガンマグロブリンという薬(血液製剤)を静脈から投与します。国内の献血の血清(けっせい)から生成され、何時間もかけて大量投与を5日間ほど続けます。
大量と聞くと心配になりますが、ガンマグロブリン投与で冠動脈の合併症を防ぐ目的があり、川崎病の治療には大切な役割を担っています。海外では1日に大量投与して治療する国もあるようですが、日本では数日に分けて投与。
ガンマグロブリンは抗体源をもっていますが半年で効果は無くなります。投与半年以内に予防接種を受けても、ガンマグロブリン内のウイルス防御機能などによって中和されてしまい効果が半減。乳幼児は予防接種が多いので、その後の接種の際は医師に伝えましょう。
1967年に川崎富作博士が子どもの「急性熱性皮膚粘膜りんぱ腺症候群」として発表。しかし新しい病気であると判明し、博士の名前をとって川崎病という病名になりました。