熱性けいれん(ひきつけ)

熱性けいれんとは、乳幼児に多くみられる発熱時のけいれんです。体調がすぐれない時に多く起こりますが、公園で遊んでいる時に突然けいれんすることもあります。ひきつけとも呼ばれますが、その様子が体を震わせるだけでなく、顔色も悪く意識を失う為、一緒にいる大人が動転してしまいがちです。

熱性けいれんの症状

急に発熱したかと思うと、突然白眼をむいて、手足の先をぴくんぴくんとひきつらせます。この時は意識が定かではなく、嘔吐や排尿も無意識に併発することがあります。子供のけいれんの多くは高熱からおこる、熱性けいれんだと言われています。

ひきつける時間は様々ですが、数秒で終わる時もあれば10分続くこともあります。また、けいれん自体が数秒だと、顔を真っ青にして脱力状態で気付かれることもあります。けいれんが治まると、何事もなかったように深い眠りについて暫くは眠り続けることも。

このような症状を初めて目の当たりにした親は、あまりに驚いて大声を出して駆け寄るかもしれません。ですが、けいれんが治まるまでは症状をよく観察して落ち着いた処置をとることをお勧めします。

唇まで真っ青になる事もあり心配になりますが、治療の重要な情報はけいれん時の状況です。お子様の為にも、細かく正確な状況把握に努めましょう。

熱性けいれんの処置

もしも熱性けいれんになってしまったら、先ずは周囲の物を簡単にどかしましょう。これは意識が定かでない時の、不慮の事故を防ぐ為です。けいれんした腕や足が、たまたまコップをひっくり返してしまうこともあります。周囲の大人も慌ててしまって事故に繋がる化膿性があります。

本人は、衣類を緩めて横向きに寝かせてあげましょう。嘔吐物が詰まると窒息の危険がある為、嘔吐していなくても上向きよりも横向きが望ましいです。

テレビや周囲に流している音楽も止めることをお勧めします。ひきつけは脳と関連性が指摘されている為、余計な刺激は控えた方が安心でしょう。勿論、大声で名前を呼ぶのも逆効果なので気を付けたいですね。周囲の人も声を落ち着かせる努力をしましょう。

舌を噛むといけないと口に箸やタオル等を詰めるのは、大変危険な行為です。逆に嘔吐物で窒息したり、口内を傷付けるおそれがあります。「舌を噛んで死ぬ」などということは通常ありませんが、噂が独り歩きしています。

けいれんの様子は必ず医師に報告しましょう。それで治療方針も見えてきます。特に初めてのけいれんだと、家族も混乱しがちですが慌てず騒がないことが必須です。どうしたら良いかわからない時は、躊躇せずに救急車を呼びましょう。

救急車を呼ぶ際は、落ち着いて住所と氏名、子どもの年齢を伝えます。電話先で受け付けている人は救急車に乗っているわけではなく、住所や氏名が分かった時点で救急車を手配して向かわせてくれます。ですから急いで電話を切れば早く救急車が来てくれるわけではありません。落ち着いて状況を伝えましょう。

熱性けいれんの受診

主に受診時に問診されるであろう、けいれん時の観察点を挙げます。もちろん個々の状態で報告する内容は異なります。他にも気が付いた事や、心配事は全て伝えることをお勧めします。けいれんの時間はとても重要な情報です。焦ってしまいがちですが、およその時間だけは確認してあげましょう。

・家族の発作経験者・てんかん歴の有無(遺伝の可能性があります)
・発作の様子は、全身か部位が特定されていたか。
・けいれん時間はどの位か。(これはとても重要な情報になります)
・意識はあったかどうか。
・嘔吐や排尿の有無。

・けいれん後は入眠したか。
・チアノーゼの有無。
・発熱はいつからあったか。
・発作経験の有無。

睡眠状態の場合は、保護者の了承を得てから腹部や腕をつねります。刺激で覚醒すれば安心ですが、反応が鈍い場合は意識レベルの低下が疑われます。ひきつけは赤ちゃんにとって多くの体力を消耗するので入眠は珍しくありません。

また、熱からけいれんをおこした場合は、既に熱に関わる診察を受けている場合もあります。受診時には、その時に処方されて服用している薬の有無や、指示された事も伝えましょう。

特に、けいれん時は家族も興奮して狼狽することがあるので、医師は冊子をくれるかもしれません。落ち着いたら、必ず目を通してホームケアに臨みましょう。ひきつけにたいする知識の有無で、対応も大きく変わります。

ひきつけの完全な治療策はありませんが、発熱時に予防投与することはあります。予防投与はジアゼパム等があります。ジアゼパムはダイアップと呼ばれる座薬です。

37.5度を超えた時点で座薬を挿入して、8時間後も発熱していたら再度挿入します。この際は、眠気とふらつきをおこす子供が多いそうなので注意して自宅で安静にしましょう。解熱剤はけいれんに対する効能がありませんから、むやみに座薬するのは控えた方が安全です。

熱性けいれんの原因

脳内の電流が異常に放電されることによって起こると言われています。こう説明すると怖く感じますが、実際は乳幼児の大半のひきつけは熱性けいれんです。細かな原因は解明されていませんが、けいれんは遺伝されると研究されています。

熱性けいれんを経験した子供は、30~40%の確率で、再び発熱時にひきつけます。ちなみに熱性けいれんの日本人の頻度は7~9%と高めの確率です。生後3ヶ月から5歳位までが多く、次第にみられなくなります。

発熱自体は、けいれんの引き金にはなるものの一概に悪いとも言えません。感染への免疫機構が働き、体内で細菌と戦っているから発熱すると言われています。その過程で、けいれんを起こしてしまう場合があるというわけです。