母乳育児中は、母乳の栄養の為だけでなく、育児で疲れた母親にとっても栄養バランスのとれた食事が大切です。
2020/12/20
母乳育児中は、母乳の栄養の為だけでなく、育児で疲れた母親にとっても栄養バランスのとれた食事が大切です。産後の体型を整えるためにダイエットをする場合は、運動を取り入れて、食生活においてはバランスよく1日3食とることをお勧めします。
厚生労働省算定「日本人の食事摂取基準」によると、授乳中は450カロリー増加させたカロリー摂取が設定されています。しかし、これは健康的に3食の献立を考えたうえでの理想カロリーです。母体の摂取カロリーを1週間以上1500カロリー以下にした場合は、母乳の分泌量が下がってしまう危険があります。
だいたい授乳時は2200カロリー程度が良いでしょう。しかし、カロリーだけを気にする母乳育児よりも、まんべんなく必要な栄養素を毎日摂取するメニュー作りが大切です。
また、カロリーを気にするあまりストレスが溜まってしまっては育児に支障が出ます。時には好きなものを食べてストレス解消して、笑顔で母乳育児を乗り切りましょう。それに授乳は量にもよりますが、母親にとっては相当なカロリー消費で「母乳育児でやせる」という話もある程です。
母乳育児中に限らず、育児中は炭水化物をきちんと摂取しましょう。「炭水化物は太る」という考えから、炭水化物を抜いたダイエットメニューもありますが、かなりの体力を消費する授乳や育児中に炭水化物を摂取しないと、逆に疲れやすくなります。
母乳育児中はタンパク質の摂取を毎日考えます。必須アミノ酸を摂取するためにはタンパク質が必要です。必須アミノ酸は体内では完全に作ることができないので、食事から摂取するしかありません。
と言っても、特別な食材は必要ありません。日本ではお米にアミノ酸が含まれていて、お米に含まれていないアミノ酸である「リジン」は豆類に含まれています。つまり、ご飯にお味噌汁や豆類といった組み合わせは、質素ながらも母乳育児に必要なアミノ酸を摂取できるようになっているのです。
ただし鶏肉など動物性タンパク質では、脂肪の少ない部分を選びましょう。動物性の脂肪は乳管の詰まりが心配です。植物性のタンパク質である大豆も、煮豆やサラダなど調理法を変えて取り入れれば飽きずに摂取できます。
母乳にはビタミンKが不足しています。その為、新生児はビタミンK欠乏症を防ぐために出生後や1ヶ月健診時などでビタミンKシロップを投与されます。シロップの投与は産院や小児科で行われるので個人では行いません。母乳育児中は、普段は母親の食事メニューでビタミンKを摂取してあげましょう。
実際にビタミンンKが不足すると出血時の血液凝固に時間がかかったり、新生児は、頻繁ではありませんが頭蓋内出血(ずがいないしゅっけつ)を引き起こす恐れもあります。
ビタミンKは納豆、紫蘇、パセリ、ほうれん草、小松菜、抹茶の粉に多く含まれています。特に納豆は粒よりもひきわり納豆に多く含まれていて、ひきわりは離乳食にも活躍するので献立に取り入れておくと便利です。
妊娠後期に鉄分不足を指摘される妊婦が多いほど、鉄分は産前産後ともに必要な栄養素です。特に産後は疲労による貧血を起こさないように気を付けてください。そして、赤ちゃんも鉄分の吸収には母乳が1番適しています。母乳育児中は、母体と赤ちゃん双方に鉄分が行き渡るような食材を摂取します。
鉄分は妊娠中はサプリメントを処方されることが多いのですが、母乳育児中はサプリメントによる摂取だけではなく食事から摂取することを考えます。鉄分だけではなく、鉄分の吸収を助けるタンパク質も一緒に摂取するなど、食事メニューで摂取すれば他にも沢山の栄養素が摂取できるので便利です。