子宮をつままれるような痛みを感じる人もいれば、じわーんと痛みを感じたと言う人もいます。どちらも、産後は順調に子宮が回復している証拠です。
2020/12/25
出産時の子宮は、赤ちゃんとともに下がっているので、ママのおへそから5センチほど下にあります。子宮は出産間近になると赤ちゃんとともに下に下がってくるので、出産後は妊娠前のもとに位置に戻ろうとします。
妊娠前の子宮の位置に戻るのは、出産後すぐに始まります。遅くても産後1ヶ月経つ頃には、もとの位置に戻っていきます。完全にもとに戻る日数は個人差がありますが、だいたい赤ちゃんの1ヶ月健診に行く頃には落ち着いてくるという目安です。
子宮と繋がる卵管や卵巣の位置は大きくは変わりません。赤ちゃんを育てる子宮だけが膨らんで大きくなるので、子宮底がどんどん、おへそに近づくのです。
通常の子宮の長さは7センチ程度です。卵のLサイズやLLサイズくらいです。でも、子宮の中で赤ちゃんが育つにつれて、子宮も風船のように大きく膨らみます。そして、出産後はまたもとの大きさに戻ります。1度、妊娠と出産で大きくなったことのある子宮は、次の妊娠時は大きくなりやすいそうです。
ちなみに妊娠後期に頻尿になることがありますが、これは子宮の隣にある膀胱が、膨らんだ子宮に押されて圧迫されるからです。
不思議なことですが、出産時におへその下あたりまで膨らんでいた子宮は、産後すぐに1度きゅっとしぼもうとします。これは子宮からの出血を抑える働きがあると言われています。そして出血を送らせた後は、再び出産時の大きさに戻ります。あとは徐々に収縮していくのです。
産後の子宮の痛みは、子宮の収縮運動からくる痛みです。妊娠前の月経でも腹痛をかんじるのは、子宮の収縮が原因の1つです。普段の腹痛と違って、子宮をつままれるような痛みを感じる人もいれば、じわーんと痛みを感じたと言う人もいます。どちらも、産後は順調に子宮が回復している証拠です。
そして産後は赤ちゃんの授乳時に出るホルモンが、子宮の収縮を促します。ですから、母乳が出ても出なくても、産後は赤ちゃんに母乳を与えながら、同時に子宮の収縮を促すことができます。母乳育児が推進される理由の1つでもあります。
子宮の収縮は出産とは違うものの痛みを伴うので「後陣痛」と呼ばれています。陣痛と同じように出産には必要な痛みなので、ママにとっては頑張りどころです。
子宮脱(しきゅうだつ)とは、子宮のいつが下降してしまう症状です。子宮の一部が部分的に膣口からのぞいている状態は、部分子宮脱(ぶぶんしきゅうだつ)と呼ばれています。完全に膣から子宮が垂れ下がっている状態は、完全子宮脱(かんぜんしきゅうだつ)と呼ばれています。
子宮脱は、誰でも起こる症状ではありません。しかし、出産回数の多い女性が高齢になった時に起こしやすいと言われています。
これらの症状の予防には、軽度の子宮脱の治療でも利用されているケーゲル体操が効果的です。ケーゲル体操は骨盤を締めたり緩めたりを繰り返して、骨盤の底の筋肉を強化する体操です。膣の緩みや、妊娠中に気になった頻尿にも効果的です。