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ポリオをやさしく解説

ポリオは赤ちゃんにとってBCGと並んで早めに接種する予防接種です。ポリオワクチンの変更から、予防できる病気までわかりやすく解説します。

寝転がる赤ちゃん

2020/12/24

ポリオとは

ポリオとは、急性灰白髄炎(きゅうせいかいはくずいえん)を予防するためのワクチンです。

ポリオはBCGと並んで早めに接種する予防接種の1つですが、2012年9月からは今までの生ワクチンから不活性化ワクチンへと変わりました。ポリオワクチンの変更から、予防できる病気までわかりやすく解説します。

生ワクチンと不活性化ワクチンの違いはこちら→

急性灰白髄炎(ポリオ)てどんな病気?

急性灰白髄炎

急性灰白髄炎(きゅうせいかいはくずいえん)とは、エンテロウイルスと呼ばれる夏風邪の原因になるウイルスの仲間の、ポリオウイルスの感染でおこる病気です。

ポリオウイルスは口から感染して体内で増殖して、便と一緒に排泄されて人から人へ感染します。

特に乳幼児に感染しやすく、なんでも口に入れたり手指を舐める赤ちゃんは感染の可能性が高いうえに、免疫力・体力の少なさから症状が重篤化しやすいところが心配です。

急性灰白髄炎のポリオウイルスに感染すると、最初は下痢・腹痛・嘔吐・発熱・頭痛・だるい症状が見られます。最初は急性胃腸炎に似ているので、家庭では夏風邪や胃腸炎だと思われがちです。

しかし、胃腸炎に似た症状が治まる4~5日で、両手両足がしびれるような感覚が現れます。これが急性灰白髄炎の怖い症状です。この時点でポリオウイルスは、のどや小腸で増殖して血液に侵入しています。

増殖したウイルスは、脊髄(せきずい)の神経に達して、脊髄内部の灰白質が炎症をおこします。この時、呼吸不全を併発したり、麻痺が残るケースも少なくはありません。

小児まひってどんな病気?

急性灰白髄炎(きゅうせいかいはくずいえん)は小児まひが残る可能性が高く、国内では根絶宣言が出ていますが、まだ海外では流行している地域もある病気です。

海外旅行や国外で生活する家庭では、渡航前に絶対に予防が必要です。いま、海外に行く予定の無い赤ちゃんも将来を考えて、必ず予防しておきたい病気です。

ポリオウイルスが原因の小児まひの特徴は、左右非対称で麻痺が見られることです。片足だけに症状が強く残る場合もあります。

ポリオウイルスによる小児まひが完治する薬や治療方法は、まだ解明されていません。ポリオウイルスによって運動神経が破壊されるので、なかなか完治は難しく、症状を緩和させたりリハビリで運動能力の維持を行う治療が行われています。

ポリオの接種期間

2012年9月から、ポリオの接種方法が変わりました。不活性化ワクチンですべて行う場合、初回接種は3回に分かれます。生後3ヶ月~1歳になるまでに、それぞれ20日以上の間隔を空けてください。

その後、初回接種から1年~1年半の間に、追加接種を1回受けます。これで不活性化ワクチンを4回接種することになります。

ポリオの接種費用

ポリオ不活性化ワクチン

ポリオの接種費用は、不活性化ワクチンの初回接種3回が定期接種になります。

今後、3種混合にポリオの不活性化ワクチンを加えた4種混合が予定されています。4種混合は定期接種に含まれるので、対象となる赤ちゃんは接種スケジュールを医師に相談すると安心です。

ポリオの不活性化ワクチンを自費で接種する場合は1回5000円前後を目安にしてください。ただし、病院によってはもう少し高い設定の場合もあります。ワクチンに対する考えは病院によって様々です。先に費用を問い合わせてみましょう。

※不活性化ワクチンの追加接種(最後の1回)は、2012年9月の時点では定期接種に含まれていません。今後、4回目の接種にあたる追加接種も、定期接種に加わることが検討されている状況です。

ポリオのワクチン

ポリオに使用されるワクチンは、2012年に生ワクチンの経口接種から、不活性化ワクチンの注射に切り替わりました。赤ちゃんの腕のどちらかに皮下注射します。

ポリオの不活性化ワクチンの切り替えによって、3種混合ワクチンは4種混合ワクチンに変わります。

2012年8月以降に産まれる赤ちゃんに対しては、3種混合ワクチンかつポリオワクチンを接種していない場合は、4種混合ワクチン(DPTーIPV)が予定されています。

ポリオワクチン不活性化ワクチンは、先に細菌やウイルスを消滅させて、体内でポリオウイルスが増殖できない状態にします。ここからポリオウイルスに対して抵抗力をつけるために必要な成分を取り出して、新たにワクチンを生成しています。

ポリオ、受ける?受けない?

ポリオと海外旅行

ポリオは国内ではもう見かけないウイルスだと言われています。それなら予防接種を受ける必要が無いのでは・・と考えてしまいます。

でも日本の周辺国では、いまだにポリオウイルスがまん延している地域もあります。そうした地域への渡航や移住によって感染したり、帰国者や生物から再び国内にポリオウイルスが侵入する可能性は0ではありません。

予防接種は、副作用が心配な保護者も多くいます。ただし、予防接種を受けないで急性灰白髄炎(ポリオ)に感染した場合は、副作用以上の症状と後遺症が残るかも知れない病気です。

迷っている時は、小児まひについて知識を深めてください。赤ちゃんに万が一、ポリオウイルスの後遺症が残るとしたら小児まひの症状です。

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