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歯を支える歯周組織

私たちの歯を支えている歯周組織とは、歯を支える部分のことです。イラストを使って、大きく5つにわけて説明します。

ミルクを飲む赤ちゃん

2020/12/24

歯周組織は歯の土台

歯の健康を考えると、私たちが鏡で見る歯冠(歯の上部)の外見ばかり気になってしまいます。歯の表面が変色したり、穴があくと異常がわかりやすく目立つからです。

でも、本当は目に見えない土台部分こそ、細かくチェックしていかないと危険です。歯茎の見えない部分は、なかなか悪化のサインに気がつきません。目に見えない場所の病気は、病院に行くまでに時間がかかりがちです。

歯周組織の異常を放置しておいて歯の土台がもろくなれば、その上に立っている歯もグラグラしてしまうので、結果的に歯全体も不健康になってしまいます。親子で歯の健康を考えたら、歯だけではなく歯を支えている歯茎など歯周組織の健康も考えましょう。

知りたいけれど専門用語が多いとサッパリわからない歯周組織について、パパやママにもわかりやすく説明します。私たちの歯を支えている歯周組織とは、歯を支える部分のことです。イラストを使って、大きく5つにわけて説明します。

歯周組織

ブラッシングで強くなる歯肉

歯肉(しにく)は、歯ブラシをあてた時に歯の下にある赤~ピンク色の部分です。私たちの健康を顔の血色の良しあしで判断することができます。同じように歯周組織の健康は、歯肉の血色の良しあしで判断できます。

歯肉が炎症を起こすと「歯肉炎(しにくえん)」をひき起こします。ちょっと歯ブラシがあたったり、食事でかたいものを食べただけで歯肉から出血します。細菌が溜まって膿をもってしまうと、歯肉部分にニキビのような腫れものができることもあります。

もしも歯肉から出血が始まったら、歯肉の炎症を疑ってください。でも歯肉を強くすることで、こうしたトラブルは改善されやすくなります。

歯肉をより健康にするには歯垢を取りのぞくことと、歯ブラシをあてて表面を強く鍛えることです。これを家庭でも心掛けて、目に見える歯周組織を健康にしていきましょう。

ゴミ箱になりやすい歯肉溝

歯肉と歯の生え際の間を鏡で見てください。歯の生え際部分に、ちょっと歯肉が被さっている部分が見えると思います。実は、この部分の歯肉の内側と歯(正確には歯の表面のエナメル質ですね)の間には、小さな溝があります。ここが「歯肉溝(しにくこう)」です。

歯肉溝は、通常は1~2mm以内のわずかな空間です。ところが歯肉が歯肉炎になって炎症をおこした場合は、歯肉が腫れて溝が大きくなってしまいます。

大きくなった溝は「歯肉ポケット」と呼ばれています。そして、歯肉ポケットの底がさらに深くなると「歯周ポケット(ししゅうぽけっと)」と呼ばれます。溝が大きくなると、食べ物のカスや歯の汚れが溜まりやすくなります。

だから歯肉溝が大きくなれば、まるでゴミ箱のように歯の表面についた食べカスや歯垢(しこう)が溜まります。やがて簡単には取りのぞくことのできない硬い歯石も出来てしまい、歯肉溝は細菌の温床になる恐れがあります。

歯肉がやせ細ってもっと悪化すると、歯肉溝も下がって歯の生え際がむき出しになります。溝が無くなるから良いと思うかもしれませんが、歯の入る部分を支える歯肉がないということは、歯がグラグラした時に支えてもらえないから抜けやすくなって、とても危険なのです。

歯のクッションになる歯根膜

歯根膜(しこんまく)は、歯を歯肉の下までしっかり、真っすぐ立て続ける役割を担っています。歯根膜があるから歯はしっかりと歯肉の下に付着して、簡単に抜けないようになっているのです。

歯根膜は「歯の靱帯(じんたい)」だと考えてください。例えば、お煎餅を食べた時に歯に力を入れると、上から歯を圧迫してしまいます。この時に歯根膜が柔軟なクッションのように上からくる衝撃を緩和してくれるのです。

歯根膜は、通常はゴムのように柔軟で歯にかかる衝撃を緩和して、歯根膜の下にある歯槽骨(しそうこつ)という骨組織に影響がないようにしてくれるのです。

あまり聞き慣れない歯根膜ですが、実はかなり重要な存在です。歯根膜の中には幾つもに分布された血管があり、歯を健康に維持するための細胞に栄養を運んでいます。だから歯根膜がダメになると、栄養がもらえなくなる細胞が出てきてしまいます。

歯の根っこを支える歯槽骨

歯槽骨(しそうこつ)は、歯根膜の下になる骨組織です。歯の根っこは、この歯槽骨に埋まって固定されています。つまり、歯槽骨は歯を支える土台の中でも最も下の基盤です。

歯槽骨に歯の根っこがある状態が正常です。もしも、歯がグラグラ抜けそうになっている時は歯の根っこが歯槽骨に、きちんと根を下ろしていない状態だと思ってください。

歯槽骨は乳歯の萌出(生えはじめ)の時から、見えない部分で歯を支えてくれています。まだ乳歯よりも歯槽骨のほうが柔らかい状態です。

歯と歯槽骨をくっつけるセメント質

セメント質は、歯の一部としても考えられますが、歯を守るとともに歯肉と歯を結び付けている組織でもあります。だからセメント質の異常は、歯と歯周組織の両方に影響します。

歯周組織としてのセメント質は、歯の目視できない下部を覆うカバーです。同じように歯の上部はエナメル質がカバーしています。また、歯を歯槽骨にくっつける接着剤の枠割もあります。

例えば、歯周組織が機能しなくなると歯肉がやせ細って下へ下へとさがっていきます。歯周溝が深くなって、歯の下部が目に見えてしまいます。この時、年々少しずつ形成されて強化されていたセメント質までむき出しになります。

セメント質がむき出しになって剥がれると、もうセメント質は死んでしまいます。となると、歯の下部を守ってくれていたカバーが消えてしまうので根っこ部分は無防備になってしまいます。

歯茎の色が黒ずんでいたり、健康的に見えない時、普段よりも歯が細長く見えたら要注意です。歯の下部のセメント質がむき出しになってきている可能性も考えて、早急に歯科に相談してください。

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