e-育児top育児用語辞典 胎便(たいべん)

胎便(たいべん)

胎便の排泄が遅れたり、完全に排泄されない場合は新生児黄疸や胎便吸引症候群などの様々な危険があります。新生児は尿や便を排泄するだけで、かなりの体力を消耗しますが、最初は回数と内容に注意してみましょう。

赤ちゃんの足

2020/12/20

胎便とは、生後まもなく出る赤ちゃんの緑がかった黒っぽい便のことです。母親のお腹の中で飲んだ羊水や腸液が便となって出るのです。この胎便が出てから、移行便、その後は通常の便の色になります。1日~数日のうちに胎便が出ないと、新生児黄疸になりやすいと言われています。別名、カニババ、蟹屎(かにくそ)とも呼ばれています。

胎便の成分

赤ちゃんの胎便は出生後に排泄されます、母親のお腹の中では羊水を飲んでも尿として排泄されるだけで便では出ないのです。つまり胎便は羊水の不用となった成分が蓄積されたものです。不用と言っても、赤ちゃんの産毛や体の脂や羊水、腸液です。

胎便の中にはビリルビンという成分が多く含まれています。ビリルビンとは胆汁の黄色色素です。血液中でビリルビンの濃度が高くなると黄疸ができます。

胎便の色と量

胎便の色は通常の便と異なって、黒や緑がかった黒色をしています。粘り気があり、ベタベタした感じの便です。胎便を出し切ると、黄色がかった移行便に変わります。

胎便の量は赤ちゃんによって様々ですが、まだ力が出せずに1度に沢山出ない場合がほとんどです。数回に渡って排泄することもあります。しかし、もしも数日経っても胎便がでない場合は腸疾患などの異常が疑われます。

胎便と初乳

最初の授乳時に出る初乳は、赤ちゃんへ母親の免疫を分け与える役割とともに、胎便の排泄を促す役割も待っています。胎便を促すことで、赤ちゃんの腸を綺麗にして、その後の授乳をスムースに進めることができるようにします。

胎便のトラブル

胎便の排泄が遅れたり、完全に排泄されない場合は新生児黄疸や胎便吸引症候群などの様々な危険があります。新生児は尿や便を排泄するだけで、かなりの体力を消耗しますが、最初は回数と内容に注意してみましょう。

新生児黄疸

胎便に多く含まれるビリルビンは黄疸の原因になります。特に新生児は体の様々な機能が未発達な為、ビリルビンの対処が不完全になりがちです。母体が変わって処理していたビリルビンを、出生後すぐは赤ちゃん自身が処理できなくて一時的に体内のビリルビンが上昇してしまうからです。

こうして新生児がかかる黄疸を新生児黄疸と呼びます。そして、このビリルビンは通常の便よりも胎便に多く含まれています。胎便が長く赤ちゃんの体内に留まれば、結果的にビリルビンが体内に多く存在して新生児黄疸になりやすいのです。

もしも胎便だけが原因で新生児黄疸がでた場合は、胎便が出てしまえば自然と黄疸の症状は落ち着きます。出産後の産院に入院している間に現れると、退院時に黄疸の様子を診断してくれます。

胎便吸引症候群

胎便吸引症候群は、出生後の便の排泄ではなく、出生前の赤ちゃんの異常によっておこります。生まれる前の赤ちゃんが胎内で便を排泄することはありません。しかし何らかの原因で赤ちゃんの呼吸に異常が起こったり仮死に陥ると、羊水中に胎便を排泄してしまいます。

その後、出生時に呼吸を開始する際、口に残っていた胎便で汚染された羊水を飲み込むことで気管支が詰まってチアノーゼや呼吸困難な状態になってしまいます。

胎便が出た時のおしりケア

胎便は通常の便よりも黒っぽくて、粘り気もあります。きちんと拭き取っておかないと、赤ちゃんのデリケートな肌がかぶれる原因になります。しかし胎便は海苔の佃煮のようにべとつく為、ついつい拭き取る力が強くなりがちです。

おしりふきを使用する場合は、水気を足して優しく拭き取ります。市販のおしりふきは1枚だと薄くて、粘り気の強い胎便を拭き取りにくいことがあります。先に温かい湯に浸してから拭き取るなど、力ではなく水分でふやかしてとる方が肌を傷めません。その後は、よくおしりを乾かしてあげます。

おむつをしていて、胎便が広い範囲に付いている場合はシャワーで洗い流してしまう方が綺麗に汚れが落ちます。シャワーは冷たいと赤ちゃんが驚くので、沐浴と同じように人肌のぬるま湯が良いでしょう。水流も強くせず、大人だと物足りない程度の優しい水流で洗い流してあげます。

カニババ、蟹屎の由来

地域によっては胎便を「カニババ」「蟹屎(かにくそ)」と呼びますが、これは神話に由来されます。海の近くで皇子を産んだ時に、寄ってくる蟹を払う役目があったそうです。例えば江戸時代には掃部頭(かもんがしら)という役職があり、殿中の掃除をして施設の管理と維持を任されていました。その職の別名も「かにもりのつかさ」と呼ばれていたように、蟹という言葉の名残りが分かります。

蟹が胎便のように黒かったり、蟹のフンが黒いわけではありませんが、お産や身の回りを掃除する意味合いが神話の蟹を追いやった役と結び付いて現代も呼ばれているようです。

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