e-育児top育児用語辞典 新生児黄疸 e-育児

新生児黄疸 e-育児

大人から見ると肌の着色に驚くかもしれませんが、新生児に関してはビリルビンが処理できずに新生児黄疸になったという事実は、さほど珍しいものではありません。

パパと赤ちゃん

2020/12/20

産まれて間もない赤ちゃんは、初めは泣いて全身を真っ赤にしますが次第に落ち着いた肌色になります。生後2~3日経つと肌が黄みを帯びてきます。この黄みは生理的なもので半分以上の乳児が経験します。これを新生児黄疸と呼び、自然と消えていくものです。

新生児黄疸の症状

新生児黄疸は一般的に、頭皮から始まりつま先に向けて着色していきます。肌だけでなく白眼の部分が薄い黄色になる赤ちゃんもいますが、ほとんどが一時的な着色です。

産後間もなく、やっと目を開けている赤ちゃんの白眼部分が黄みを帯びていたら驚くかもしれませんが、赤ちゃんはまだまだ全ての機能が完全ではないので、落ち着いて医師に相談してみると安心できます。

よく産院でも、産後1週間ほどで退院する際には新生児黄疸の経過を診察されます。これは、黄みを帯びてから7~10日過ぎると、次第に消えていく特徴から、退院時に黄みの変化を確認するのです。

黄疸の観察や治療の為に退院の延長や通院を指示されることもありますが、不安を取り除く為にも医師の指示に従うことをお勧めします。新生児黄疸は症状も心配ですが、大切なのは黄疸が減少していくかどうかの経過観察です。

新生児黄疸の原因

新生児黄疸が現れる原因は、血中のビリルビンの過剰によるものです。ビリルビンは、あまり耳にしない単語かもしれませんが、体内で酸素を運ぶ赤血球から分解されてできる成分です。

もとから胎児は赤血球が多い傾向にありますが、生まれると赤血球は壊されていきます。赤血球中のビリルビンも必ず体内に発生しますが、通常は肝臓で処理されて腎臓から排泄されます。ところが新生児は体の機能も未熟な為に、処理する肝臓が未成熟だとビリルビンが処理されずに残ってしまうのです

こうして体内に残ってしまったビリルビンが血中に増えると、肌に黄みが現れて新生児黄疸となります。大人から見ると肌の着色に驚くかもしれませんが、新生児に関してはビリルビンが処理できずに新生児黄疸になったという事実は、さほど珍しいものではありません。

母乳性黄疸とは

母乳を飲んでいる赤ちゃんは新生児黄疸が発症しやすく、期間も長くなりがちです。

ビリルビンが肝臓で処理されると説明しましたが、母乳には肝臓の酵素の働きを弱める女性ホルモンが多く含まれているので、必然的に母乳の摂取はビリルビンの処理を遅らせてしまうのですね。このことから、母乳摂取からくる黄疸を母乳性黄疸と呼びます。

通常の黄疸は7~10日で薄れていきますが、母乳性黄疸の場合は2週間以上続くことも珍しくありません。母乳によって黄疸が強く出たり長引くと、原因である母乳栄養が悪く聞こえるかもしれませんが、母乳には通常では摂取し難い栄養素も含まれる上に、授乳は赤ちゃんとの大切なコミュニケーションなので続けていきましょう。

原因である母乳を摂取しなければ良いのでは?と考えがちですが、突然母乳を中止するとミルクアレルギー発症のリスクを与えることになります。個人で判断するには難しい問題なので、医師に相談することをお勧めします。

大切なのはビリルビン値です。ビリルビン値が高くなければ遅くても母乳性黄疸は減少していきます。

新生児溶血性黄疸とは

新生児黄疸の中でも、ちょっと注意しておきたいのが新生児溶血性黄疸と呼ばれる黄疸です。

胎内で母親と赤ちゃんの血液型のRh因子が異なり不適合がおこると、母体は胎児の赤血球に対する抗体を作ります。その抗体が働き胎児の赤血球が出産前に壊されると、血中には処理できないビリルビンが多く残ることになります。これが新生児溶血性黄疸の原因となります。

ここで作られる母体の抗体は健康な体なら作用するものなので、不適合だったからと言って母体が問題なわけではないと捉えてみましょう。

出生した時から黄疸があったり、急に黄みがつよくなった時は新生児溶血性黄疸の可能性もあります。ただ、黄みは目に見えますが血中のビリルビン値は判断できないので、医師の診断を仰ぐと的確な対応ができて安心です。

新生児溶血性黄疸の症状が急激におこる時は、貧血や重症の黄疸に発展する可能性があります。急激なビリルビンの停滞と処理不能により、ビリルビンが脳の神経細胞にたまった場合、核黄疸になります。ビリルビンが脳の細胞に障害をおこすと脳性麻痺に繋がる可能性も出てくるので、早めの治療をお勧めします。

黄疸の治療

基本的に医師の指示に従うことが最善の治療へ繋がるので、早期受診が安心です。産後まもなく肌の黄みを発見すると母親はとても心配になりますが、大人になるまで新生児黄疸が続くことはありません。ほとんどの黄疸は一過性なので治療よりも経過観察をすることになるでしょう。

新生児溶血性黄疸や核黄疸と診断された場合は、体に光線をあててビリルビンを処理する光線療法を取り入れます。それでも血中のビリルビンが下がらない場合は、全身の血液を交換する交換輸血を行います。交換輸血は、核黄疸に進行する可能性が分かった時点で予防策としても取り入れられます。

黄疸とカロチン血症

黄疸の特徴として肌や白眼の黄みを挙げましたが、黄みがあるからと言って必ずしも黄疸と診断されるわけではありません。特に離乳食などが始まるとカロチン血症の場合もあります。

カロチン血症は、主にカロチンが多量に含まれる食品の摂取によて起こる無害な症状です。みかん等の柑橘類・かぼちゃや人参等の緑黄色野菜・スイカやトマトや焼き海苔にもカロチンは多く含まれます。みかんを食べ過ぎると手が黄色くなる」と、みかん好きの方なら耳にしたことがあるかもしれませんね。

カロチンは体内でビタミンAに代謝されますが、過剰摂取による中毒の心配はほぼありません。逆にカロチンは、肌や爪の健康・歯の成長を助ける働きがあるので、積極的に取り入れたいですね。

ここで注意すべきなのは、野菜ジュース等で簡単に1食品から摂取するこで出る肌の黄みです。この場合はカロチンが原因の黄みなら問題はありませんが、栄養の摂取法を考えた指導をされるかもしれませんね。
手軽に栄養を摂取するスタイルの家庭では、子供だけでなく母親の手のひらも黄色かったりするそうです。

新生児黄疸からは話がそれましたが、離乳食開始後の黄疸は、栄養摂取の過程も判断材料の1つになると覚えておくとよいかもしれません。

\ Pic Up /