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虫歯 e-育児

乳歯は酸に弱いうえ、エナメル質が薄くやわらかい特徴があります。ちょっとしたことで歯が欠けることもあり、虫歯にもなりやすいので注意が必要です。

おむつを履く赤ちゃん

2020/12/20

虫歯とは、体の中で最も硬い歯が、口内の細菌の作りだす酸によって溶かされてしまうことです。特に乳歯はおとなの歯と比べて酸に弱い特徴があります。1度虫歯になると、自然治癒は不可能で、早期治療で進行を食い止めることに徹します。

虫歯の症状

虫歯の症状は、専門用語で大きく5つにわけることができます。よく歯科検診で、英語と数字を組み合わせた呼び名を耳にしているかもしれませんが、これは虫歯の進行度合いを判断するものです。

先ずは、虫歯に見えないけれど歯が乳白色に濁ったような色をし始めたら初期症状の現れです。この状態では歯の黒ずみや欠ける症状がない為、歯の裏部分や奥歯では見落としがちです。総称して「Cの0」(しーのぜろ)などと呼ばれます。

次に歯の表面のエナメル質が、細菌によって溶けはじめた状態を「Cの1」(しーのいち)と呼びます。これは、目で見て判断できる薄い黒ずみや溝ができている程度です。

初期なので、痛みが生じないうちに進行抑制剤か、患部を削除して修復剤を詰める作業で済みます。乳歯の場合は歯が小さいことと、治療中に動きやすいことから、削らずに抑制剤で進行阻止をすることもあります。

エナメル質を突き破って、下の象牙質まで虫歯が進行すると「Cの2」(しーのに)と呼ばれます。すでに歯の表面のエナメル質に穴が開いているので、一目で虫歯と分かる程です。痛みや、冷たいものに過敏になり始めて赤ちゃんは離乳食が進まなくなってしまいます。

ここまでくると、進行抑制だけでは治療できないので形を整えて金属の詰め物などをします。金属の詰め物は赤ちゃんには違和感がある為、しばらくは気にして触ったり噛みにくそうにするかもしれません。

歯の表面のエナメル質、その下の象牙質が溶け出して神経まで到達すると、眠る間際に痛くて眠れなかったり、何かが当たっただけでも痛みを感じるようになります。この状態を「Cの3」(しーのさん)と呼びます。治療回数も増える為、赤ちゃんは歯医者に対して恐怖感を持つことがあります。

はの根っこしか残っていない状態は「Cの4」(しーのよん)と呼ばれます。ここまで来ると歯の原型をとどめておらず、口内を覗くとぽっかり空いた状態に見えます。歯茎の中に埋まっている歯の根っこの先に膿の袋ができて歯茎が腫れあがることもあります。こうなると抜歯の対象になります。

赤ちゃんの場合は、もっと早くに痛みや腫れに気が付いて受診をするので、あまりこの状態までは進行しません。しかし大人の場合は我慢して治療をしなかった結果、Cの4まで進むこともあります。どちらかと言うと妊娠出産で歯医者に行く暇のなくなったママが注意すべき症状です。

虫歯の原因

虫歯の原因は、歯に残っている食べ物で繁殖するミュータンス菌が歯の表面に歯垢(しこう)を作り、歯垢から分泌される酸が歯を溶かしていくことが原因です。よく甘いものを好むと虫歯になりやすいと聞きますが、これはミュータンス菌が糖分に敏感に反応して、活発になる特徴から言われるようになりました。

歯垢はプラークとも呼ばれる歯の表面の汚れです。ねばねばしているので歯磨きでしっかり取り除かないと、そこから菌が繁殖します。歯垢を放置するとカルシウムと結合して歯石(しせき)になって、歯磨きだけでは落ちない頑固な汚れの原因になります。

乳歯の虫歯の危険性

乳歯はいずれ抜くからと虫歯に対しても焦らないかもしれませんが、乳歯が虫歯になるということは歯磨き習慣を見直し他方がよいサインです。いくら歯磨きをしていても磨き方や、歯磨きの習慣が合っていないと虫歯の菌は増殖して、停滞する癖がついてしまいます。

乳歯の虫歯を放っておくと、大人の歯が生える時に口内に虫歯菌が残ってしまいます。また、大人の歯が生える前に発達しはじめる顎(あご)の成長を妨げてしまうと、大人の歯が均等に並ぶスペースが確保できなくなります。その結果、乳歯の裏におとなの歯が生えてきたり、大人の歯が生えるスペースがなくなってしまいます。

余りにも虫歯が続くようだと、永久歯の元の部分が傷ついて変色してしまうことも有るそうです。一生使う大人の歯を守る為にも、乳歯の虫歯も早期治療で完治する必要があります。

乳歯の虫歯の特徴

乳歯は酸に弱いうえ、エナメル質が薄くやわらかい特徴があります。ちょっとしたことで歯が欠けることもあり、虫歯にもなりやすいので注意が必要です。

1本ずつが小さい為、虫歯が神経に達するのも早く、数ヶ月で進行して神経まで達することもあります。見落としがちな部分は以下の通りです。

3歳を過ぎると大人の歯が生える準備で顎(あご)がしっかりしてきます。乳歯と乳歯の間に隙間ができるので、食べカスが詰まりやすくなります。しかし子ども自身が歯磨きをすると、表面の汚れが除去されてきれいになったと思いがちで、隙間は汚れが残っています。

多くの赤ちゃんは、歯を磨く事を嫌がる傾向にあります。その為、毎日仕上げ磨きをしようとしても嫌がって口を大きく開けないのです。なかにはママが仕上げ磨きをすることは嫌がっても、自分で歯ブラシを握るのは大好きな子もいます。歯磨きというよりは歯固め感覚で口に入れるようです。

虫歯の治療

虫歯は、けっして自然治癒しません。先に述べた虫歯の症状に合わせて治療します。早めに治療すれば通院回数も減り、菌の繁殖も防ぐことができます。しかし歯の治療に対する恐怖心から、通院を先延ばしにしてしまうと虫歯が進行してしまうこともあります。乳歯の虫歯の場合は、歯が酸に弱い為、進行が早いので毎日の仕上げ磨きで溝や変色を見つけたら歯科検診を受けましょう。

虫歯の治療は簡単な1度で済む軽度の症状なら、樹脂を詰めるだけで済みます。それでも虫歯部分は取り戻すことができないので、詰め物をしたに再び歯が生えてくることはありません。

Cの3程度の虫歯で、削る部分が増えれば治療回数も増えます。削る部分が広がってくると歯にかぶせものをします。クラウンと呼ぶかぶせものは、セラミックの歯の色に似た詰め物や銀歯と呼ばれるものがあります。この治療は型をとったりレントゲンを撮ることもあるので数回の通院が必要です。

Cの4まで進行すると、歯の表面だけを治療するだけでは完治しなくなります。表面からは見えない内部の根っこの治療をします。「神経が死んでいる」という言葉もある通り、最後は痛みも感じず歯が機能していない状態になります。抜歯をして根底から除去することもあります。抜歯をしても、大人の歯は生え変わらないので人工の歯を使うことになります。

歯医者に行きたがらない子や、処置室の椅子に座っていられない子も多く見られます。小児専門歯科や経験豊富な歯医者さんは、工夫して乳歯の治療を進めてくれます。待合室でも遊べたり、「歯医者さん=怖い」という固定概念を持たせないような雰囲気作りをしてくれます。

処置室の椅子にベルトで押さえつけるのは、思わぬ動きで口内を傷付けない為です。子どもは痛みに対して全身で反応するので、治療中はぬいぐるみを抱いたり手を握ってあげたり、声をかけて気をそらすこともあります。治療後は「頑張ったね」と言葉で褒めてあげると、次の治療や歯磨きへの意欲を持つことができます。

歯の再石灰化

歯の再石灰化とは、虫歯などが原因で溶けてしまった歯の表面を、唾液に含まれるカルシウムやリンが補修してくれることです。虫歯になっても再石灰化で初期は済むのではという考えも聞きますが、実際は再石灰化で虫歯が治ることは確実ではないそうです。

再石灰化が働くのは目視では確認できない程度の損傷です。せめてCの0レベルの虫歯なら、再石灰化の可能性もありますが確実ではありません。歯の白みが濁った初期にキシリトールやフッ素を取り入れながらケアしますが、再石灰化は虫歯の治療としては補助的なものです。やはり歯医者での治療が確実なのです。

虫歯の予防

虫歯の予防は、毎日の積み重ねで口の中に菌を停滞させないことです。

それでも、見つけにくい場所にできた溝から虫歯ができることもあります。痛みがなくても定期的な歯科検診を受けることで、慢性的な虫歯を防ぐことができます。

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