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赤ちゃんの食中毒

赤ちゃんにも心配な食中毒をわかりやすく説明します。離乳食のてづかみ食べやおにぎりで見つかりやすい黄色ブドウ球菌など。

赤ちゃんを抱っこしながら寝るママ

2020/12/19

赤ちゃんにも心配な食中毒をわかりやすく説明します。離乳食のてづかみ食べやおにぎりで見つかりやすい黄色ブドウ球菌や、風邪症状と間違いやすく初期治療が遅れがちなカンピロバクター菌など。

家庭内の食中毒

赤ちゃんの食中毒

赤ちゃんは消化機能が未発達なので、パパやママよりも食品に潜んでいる菌に敏感です。食中毒と言えば生もの、外食など家庭の食事以外でおこるイメージですが、実際は家庭の食事でも食中毒はおこります。

家庭内の食中毒は賞味期限を間違えたり、加熱が完全に行きわたらずに菌が残っていることも原因になります。他にも食材ではなく調理する手や調理器具が不衛生だと、せっかくの新鮮な食材にも菌がついてしまいます。

細菌性食中毒

毒素型

毒素型(どくそがた)の食中毒とは、食品中の細菌が活性化しておこる食中毒です。黄色ブドウ球菌とボツリヌス菌が有名です。

黄色ブドウ球菌は、私たちの肌から食品にうつり体内に侵入します。黄色ブドウ球菌は加熱にも強い、耐熱性毒素(たいねつせいどくそ)なので焼いたり茹でたりといった家庭の調理方法では消えない厄介な菌です。おにぎりにも発生するので、離乳食のてづかみご飯が好きな赤ちゃんは要注意。潜伏期間は数時間しかないので、すぐ症状があらわれます。

ボツリヌス菌は潜伏期間が長く最長では翌日に症状があらわれるケースもあります。声がでにくくなるような神経症状が特徴で、真空パック食品でも発生します。離乳食がすすんでソーセージを食べるようになった赤ちゃんは気をつけてください。

他にはセレウス菌という汚染された食品の摂取で感染する菌もあります。セレウス菌は本来、大人の腸の常在菌でもあります。多くは高温加熱で不活性化しますが、エタノール系消毒剤にも耐性をもつタイプもあって、なかなか殺菌消毒で完全死滅しにくい菌です。抵抗力の弱い高齢者や赤ちゃんは命にかかわるケースもあるので、早急な治療が求められます。

感染型

感染型(かんせんがた)の食中毒とは、菌の含まれた食品を食べてしまい、その菌が体内で増殖してひきおこされる食中毒です。育児家庭では聞いたことのある菌が多く含まれます。

カンピロバクター菌は水溶性や血便など便に異変が出やすい菌です。発熱や寒がったり、だるくなる症状は風邪の初期症状に勘違いされやすいのですが、感染して数週間で顔面まひや呼吸困難をひきおこすギランバレー症候群を併発する危険があるので、必ず病院で治療してほしいです。赤ちゃんの離乳食では鶏肉と卵に気をつけてください。

腸炎ビブリオは塩分のある海水で増殖する菌なので、主に生の魚介類が原因になります。激しい下痢と嘔吐症状で脱水症状が心配です。離乳食では生の魚介類は控えてください。

ウェルシュ菌は発熱はなく、下痢や嘔吐が1~2日続きます。学校給食や仕出し弁当で発生することが多かったのですが、最近は2日目のカレーでウェルシュ菌が原因の食中毒がおこった例もあります。家庭でも離乳食はすぐに食べるようにしてください。

病原性大腸菌(びょうげんせいだいちょうきん)はO-157が有名です。大腸菌の多くは体内でも無害ですが、たまに下痢を引き起こす菌となります。家畜の糞便で汚染された肉、水を食べることで感染します。冷凍庫では死滅しませんが、加熱殺菌は有効です。子どもが死亡した事例もあるので食材選びに気をつけたいです。

サルモネラ菌は強力な腹痛と発熱、水様便が特徴です。サルモネラ菌は肉類やペットから感染するので、菌をもったペット(亀やザリガニも含む)を触った指を舐めて感染する赤ちゃんもいます。症状が強いので抵抗力の弱い赤ちゃんは、早急な治療が必要です。

リステリア菌は乳幼児が感染すると重症化して髄膜炎を引き起こす危険があります。妊婦が感染すると流産の危険もあるので、家族で気をつけてほしいです。輸入チーズで発生することがあるので、成分表示や保存状態をチェックしてください。

ウイルス性食中毒

ウイルス性食中毒はノロウイルスやロタウイルス、A型肝炎ウイルスが有名です。冬の風邪と言われるノロウイルスですが、嘔吐や下痢の激しさは食中毒の代表的な症状でもあります。人から人への感染力が強いので、保育所や児童館での集団感染に注意してください。

赤ちゃんが食中毒になると

食中毒

赤ちゃんが食中毒になると大人と同じように発熱や下痢、嘔吐などの症状があらわれます。食材によっては頭痛、けいれんなど様々な症状が併発します。

赤ちゃんは体内の水分量が80%ほどなので、発熱や下痢、嘔吐のどの症状に苦しんでも脱水症状が心配です。食中毒が原因の嘔吐がはじまると、なにを口に入れても吐き出してしまうので症状がおさまるまで食事ができないことがほとんどです。それでも体内の水分は減っていくので、早急な医師の治療が必要です。

赤ちゃんは水分と体力を失うと、だんだん泣き声も小さく静かになります。これは疲れて休息をとっているのではありません。体力が落ちて泣くことができなくなっている可能性が高いと疑ってください。

必ず病院に連絡

最も避けてほしいのは、「ちゃんと調理しているから食中毒のはずはない」と決めつけてしまうことです。赤ちゃんは大人より体の機能、体力も少ないので我慢して耐えることは不可能です。すぐに症状が進んで命にかかわることもあるのです。

食中毒が疑われたときや普段と違う症状があらわれたときは、すぐに病院に相談してください。食中毒かそうでないのかは家庭では判断できません。風邪かどうかは医師の判断がなければ確定しないものです。

夜間・休日の場合も朝まで待機せずに、早急に病院に連絡してください。まんがいち食中毒になっていた場合、菌によって治療方法も変わり、点滴によるケアも考えられます。パパとママは症状や便の様子を伝えてください。

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