e-育児top育児中の鉄分不足 鉄分の多い野菜・貝類

鉄分の多い野菜・貝類

鉄欠乏性貧血の予防と治療に効果的な、鉄分を含む野菜類と貝類を紹介します。

パパと赤ちゃん

2020/12/19

鉄欠乏性貧血の予防と治療に効果的な、鉄分を含む野菜類と貝類を紹介します。野菜類と貝類に含まれる鉄分は、非ヘム鉄といって体内への吸収率が低いのが難点です。ヘム鉄を含む肉や魚と摂取することで吸収率がアップします。

非ヘム鉄とは

疑問

鉄分はヘム鉄と、非ヘム鉄に分けることができます。あまり聞き慣れない言葉なので、普段は鉄分とひとくくりに聞くことのほうが多いのですが、実際は吸収率や食べ方に違いがあります。

ヘム鉄は肉類や魚類など動物性の食品に多く含まれます。非ヘム鉄は、このページで説明する野菜や貝類に含まれます。

非ヘム鉄は、その食品を食べただけでは鉄分を沢山吸収することができません。非ヘム鉄は三価鉄(さんかてつ)といって、そのままでは体内に吸収できない鉄分です。

そこで、そのまま体内に吸収可能な二価鉄(にかてつ)であるヘム鉄のもつ「非ヘム鉄の吸収を助ける」効果を利用したり、ビタミンやタンパク質と同時摂取することで吸収率を挙げる必要があります。

こう考えると、非ヘム鉄は吸収率も悪くてやっかいな鉄分に見えるかもしれませんが、植物性の鉄分には葉酸やビタミン、カロチンなど動物性の鉄分には少ない栄養素がいっぱい含まれているメリットもあります。

だから、吸収されにくい非ヘム鉄を上手に食べる工夫がわかれば、ただ鉄分を摂取するよりも効果的に貧血対策ができます。

非ヘム鉄に有効な栄養素

非ヘム鉄の体内吸収を助けてくれる栄養素と一緒に摂取すると、吸収率がアップします。

ヘム鉄を含む食品

肉類や魚類の鉄分は、非ヘム鉄の野菜や貝類の鉄分吸収を助けます。

ビタミンC

三価鉄を二価鉄に変えて体内吸収を促進させる働きがあります。

動物性たんぱく質

非ヘム鉄だけよりも、一緒に摂取したほうが吸収されやすくなります。

非ヘム鉄と合わせたくない栄養素

非ヘム鉄と一緒に摂取すると吸収率がダウンする栄養素もあります。貧血気味のときは組み合わせないように心掛けましょう。

タンニン

緑茶、ウーロン茶、コーヒー、紅茶、ワインなどに含まれるタンニンは鉄分と結び付くとタンニン鉄に変化します。タンニン鉄は水に溶けにくいので、体に吸収されにくいのです。でもワインのポリフェノールや、お茶のカテキンなど素晴らしい効能はたくさんもっているので完全に飲んではいけないわけではありません。貧血対策の時だけ気をつけるようにしましょう。

食物繊維

食物繊維もカルシウムと吸着すると鉄分の吸収を妨げます。でも、食物繊維は女性にも子どもにも必要な栄養素です。貧血対策のメニューのときだけ鉄分吸収を優先して、食物繊維の多い食品を食べ過ぎないように心掛ければ大丈夫です。

小松菜

小松菜(こまつな)は野菜のなかでも鉄分含有量がトップクラスです。最近はグリーンスムージーなど栄養目的のメニューに取り入れられるようになってきました。

でも、野菜好きじゃない人には、あまり馴染みのない野菜かもしれません。似たような外見のほうれん草を選ぶ人も多いです。実際はカルシウムと鉄分だけは、ほうれん草よりも高い含有率を誇ります。

小松菜は鉄分と一緒にカリウムを摂取できます。カリウムはナトリウムと体内の浸透圧を調節するので、貧血で必要になる水分を保持してくれます。

小松菜は非ヘム鉄なので、ヘム鉄である肉類や魚類と同時摂取で吸収力を高めなければいけません。でも、小松菜は鉄分の吸収率は低くてもビタミンCの働きが、鉄分吸収を助けます。

小松菜自体は自分で鉄分も持っていて、その鉄分吸収を手助けするビタミンCも持っているから貧血対策に適しています。ビタミンCは体内では生成されないので、一緒に摂取して鉄分吸収率を高めることが大切です。

子どもにも有益な栄養素が沢山あります。小松菜は野菜のなかでもカルシウム含有率が多く、育ち盛りの子どもの骨の成長や神経伝達機能の発達を支えることで、イライラや集中力低下を改善します。

βカロチンも含むので呼吸器系の弱い子どもには小松菜スープや味噌汁がおすすめです。離乳食では初期から活用できます。茎は食べにくいので、葉先を使ってください。

ほうれん草

ほうれん草(ホウレンソウ)は「緑黄色野菜の王様」とも言われるほどの栄養価の高さが有名です。

特に鉄分、ビタミンAとビタミンCは特筆すべき含有量です。小松菜と同じく、鉄分とビタミンCを同時摂取できる野菜です。鉄分を強化したい時は、鉄製のフライパンで炒めてください。

ほうれん草には葉酸が多く含まれます。葉酸は水に溶けやすく加熱に弱いので、ほうれん草を調理する時は手早くするのがコツです。ヘム鉄の肉類と一緒に加熱する時は、肉類にしっかり非が通ってから加えると、加熱時間が少なく済みます。

でも葉酸を必要量とろうと考えると1日に1束以上の摂取が必要です。だから、より葉酸が必要な妊娠中はサプリに頼ることもあります。

産後は離乳食にも取り入れたいので、サプリだけでなく食品として食べたいものです。ほうれん草は、離乳食初期から活用できます。スープや味噌汁なら水に逃げた栄養もとれるのでおすすめです。離乳食初期なら葉を茹でて裏ごしして、お粥に混ぜると食べやすいです。

新鮮なほうれん草の見極め方は、葉が濃い緑で先がしなびていない、肉厚で茎がしっかりしていて根に赤みがのこっているものです。

しじみ

しじみは最近注目されている栄養食品です。鉄分含有量は貝類のなかでもトップクラスです。鉄分と一緒に注目したいのは、水溶性ビタミンのビタミンB12です。

ビタミンB12は、葉酸とともに赤血球のなかのヘモグロビン生成を補助します。だから、しじみは健康的に赤血球を増やすことができる鉄分とビタミンB12の2種を一度に摂取できる効果的な食品なのです。

また、しじみにはアミノ酸の一種のメチオニンが含まれています。メチオニンは肝臓機能をサポートしてくれる成分です。だから肝臓に負担をかけるような食生活をしている人には、しじみエキスがたっぷりの味噌汁がおすすめです。

一説には、ビタミンB12とメチオニンが、疲れてマイナス思考になるうつ状態にも効果を発揮すると言われています。育児疲れや睡眠不足のママや、不規則な食生活やアルコールを飲む機会の多いパパにも知ってほしい効果です。

離乳食では1歳までは、離乳食が順調でもしじみなど貝類は、味噌汁の出汁としてうわずみを与えます。1歳以降、離乳食完了期になったら身も食べさせてあげましょう。貝類はアレルギーの心配があるので、あまり急いで与えなくても大丈夫です。

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